アメリカは先月の感謝祭の4連休の影響で、新型コロナウイルスの感染がさらに拡大し、1日25万人、新規感染者3000人が亡くなる新たな記録を更新しました。
そんな中、ファイザー社製の新型コロナワクチンがFDA(米国食品医薬品局)のお墨付きを受け、イギリスに続いて接種が現実のものになっています。しかし、「たとえ予防接種を受けてもすぐにマスクを外すことはできない」という専門家らの警告が論議を呼んでいます。
ワクチン接種で自分は守られても、無症状で他人に感染させるリスクは消えないからというのがその理由です。
予防接種さえ受ければ新型コロナに感染しなくなると思いがちですが、予防接種によって発症リスクが劇的に下がるだけで、感染そのものを止めるわけではないという説明がされています。
では、ワクチンによって発症しなくなるのに、なぜ他人に感染させてしまうのでしょうか。ワクチンは注射つまり血流を通じて全身に行きわたり、抗体を作り出して発症を防ぎます。
その抗体の一部は鼻や喉の粘膜まで達しますが、その抗体の量がどのくらいなのか、どれほど早く到達するかはまだ不明です。
もし、抗体が十分な量とスピードで喉や鼻に到達しなかった場合、粘膜に付着したコロナウイルスは増殖し、飛沫を通じて他人に伝染する可能性はゼロではありません。
この可能性が実際にどれだけのものなのかは研究が進めばもっと明らかになるとされていますが、それまではマスクは手放せない、ソーシャルディスタンスも続ける必要があるのです。
こうした感染を防ぐために注射以外の予防接種も注目されています。鼻や喉に直接作用するスプレー式などのワクチンで、こちらも開発・認可が期待されています。
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