身近な病気の正しいクスリの使い方

「乾燥肌」は予防が何より重要 保湿成分と油分が欠かせない

乾燥対策には保湿成分と油分が欠かせない
乾燥対策には保湿成分と油分が欠かせない

 冬は「肌の乾燥」が気になる季節です。湿度が10%以下の砂漠並みの乾燥状態になることもあるため、皮膚がカサカサしたり、痒みが出たり、あかぎれになる人もいます。

「乾燥肌」とは、皮膚の一番外側の角質と呼ばれる層に含まれる水分の量が低下した状態を指します。角質は皮膚のバリアー機能の主体ですので、角質が弱くなるということはバリアー機能も弱くなり、肌荒れや感染を引き起こしてしまいます。

 乾燥肌の原因は、外的要因である空気の乾燥はもちろんですが、「紫外線」や「洗い過ぎ」も挙げられます。

 また、内的要因として、加齢による「水分量の低下」や「ホルモンの変化」「栄養バランスの偏り」などがあります。

 皮膚を乾燥から守るためには、外から水分を補給する「保湿」が重要です。単に水分を補うだけでなく、水分を抜けにくくするために、保湿成分や適度な油分も必須となります。

 医薬品の保湿成分は主に2種類で、「尿素」と「ヘパリン類似物質」があります。尿素は濃度の高いものをおすすめしますが、傷口には染みる場合がありますので注意が必要です。

 ヘパリン類似物質は、刺激は少ないものの血行を促進するため、出血部位や皮膚の薄い場所、粘膜などには使わない方がよいでしょう。

 油分を補うのであれば、「白色ワセリン」が有効です。水分の蒸発を防ぎ、また刺激がないことから全身どこでも使えます。難点は“ベタつき”でしょうか。

 とりわけ男性はクリームを塗る習慣がなかったり、べたつきに抵抗があったりと、乾燥対策を怠りがちですが、乾燥による肌荒れや痒みは一度表れるとなかなか治りづらくなるものです。そのため予防が重要です。肌が乾燥していると感じたら、早めにしっかり保湿するよう心がけましょう。

神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

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