秒速薬膳でアッという間に健康に

春の体調不良にはニンジンと豆乳で「血」と「水」を補う

春の健やかキャロット豆乳
春の健やかキャロット豆乳(提供写真)

 桜の花も咲き、いよいよ本格的な春到来です。薬膳では季節に合わせた食養生が大切とされています。新たな季節を食の力で健やかに過ごしましょう。

 春は気温の上昇とともに人間の体も活発に動き始め、体内を巡るエネルギーも高まります。中医学において、春は「肝」と呼ばれる臓器の働きが過剰になり、バランスを崩しやすいとされているのです。肝は血を貯蔵して体中に巡らせたり、解毒を行う働きを持ち、目や筋肉とも関わりの深い臓器です。よって、春は疲れ目、目の充血、こむらがえりといったトラブルを引き起こしやすくなるのです。

 また、肝は自律神経にも関わりが深いため、ストレスに弱くなりがち。イライラ、情緒不安定といった症状も、春はひどくなりやすいのです。

 それでなくてもこの時季は、人事異動や引っ越しなど環境の変化からもストレスで肝に負担がかかります。とりわけ肝をケアする食養生が必要です。

 さらに、体の上部にトラブルを引き起こしやすい時季でもあります。「春一番」に始まって強い風が吹くためです。春の風は「下から上に吹く」といわれ、陽気が上に集まりやすいので、目まい、のぼせ、頭痛、鼻水、鼻づまり、吹き出ものなどを引き起こしやすいのです。

 これらの「春トラブル」を防止するためには、肝のバランスを整えることが重要になります。その肝と重要な関わりがあるのが「血」。中医学では「全身に流れて栄養を与える働きのある液体」と考えます。肝は血が充実してこそ、きちんと稼働するのです。

 さらに、うまく利用したいのが「水」。水は血以外のあらゆる体液を指し、体に潤いを与える働きを持つ液体とされます。そして水は過剰になり過ぎた肝の働きを正常化してくれるのです。

 よって、血を補う食材と水を補う食材をダブルで取り入れると、肝のバランスが取れて春の体を快適に維持することができるようになります。

 血を補うのに役立つのは、ホウレンソウ、小松菜、ニンジン、レバー、イカ、アナゴ、カツオ、ブドウ(レーズン)、黒ゴマなど。そして水は、ナガイモ、レンコン、白菜、ホタテ、カキ、豆腐、牛乳、豆乳、白ゴマなどの食材で補えます。

 味噌汁の具には豆腐とホウレンソウを使う、カツオのお刺し身に白ゴマを振る……といった工夫をしてみましょう。

【春トラブル解消薬膳レシピ】

春の健やかキャロット豆乳

 血を補うニンジン、レーズン、水を補う豆乳、白ゴマを使ったドリンク。ホッと癒やされる味わいです。

【材料】2人分
●ニンジンジュース  1カップ
●豆乳 1カップ
●レーズン 大さじ2
●白すりゴマ 大さじ1

【作り方】
 ニンジンジュース、豆乳をカップに入れレーズン、白すりゴマを加えて混ぜ合わせる。

池田陽子

池田陽子

薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト・全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。国立北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で国際中医薬膳師資格を取得。近著「1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日」が好評発売中。

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