秒速薬膳でアッという間に健康に

豚肉と梅干しで「水」ブロッコリーで「気」を補い夏バテ撃退

焼き豚とブロッコリースプラウトの梅ごま風味
焼き豚とブロッコリースプラウトの梅ごま風味(提供写真)

 夏、真っ盛り。昼ばかりか夜も蒸し暑く、どんどん体力を消耗するこの時季を乗り切るために、薬膳をフル活用しましょう。

 今週も先週に引き続き、夏バテ対策について紹介します。前回も説明したように、夏はまず寒涼性の食材を取り入れて、体にこもった熱を冷ますことが大切。それに加え、汗で失った「水」を補うことも重要です。

「水」とは、中医学において、血以外のあらゆる体液のことを指します。水を補給するなら「水をたくさん飲めばいい」と思いがちですが、水を飲む=体液を増やす、というわけではありません。あくまで体に体液を生み出す食材を補って、「体に潤いをとどめる」ことがポイントなのです。そもそも水分の取り過ぎは胃液が薄まり、食欲が落ちて、さらにバテてしまう原因になるので、食べ物で補うのがよりよい方法です。

 そのうえ、これを怠ると大気が乾燥する秋になってから、気管支トラブルを引き起こしやすくなってしまいます。肌の乾燥もひどくなり、気になる「シワが激増」という恐ろしい事態にも! 「夏老け」を防ぎ、次の季節の体を健やかに保つためにも、心掛けておきましょう。

 また、これは「紫外線対策」にもつながります。体内に潤いを与えておくと、日差しという「火」を「水」が消してくれることで日焼けしにくくなるのです。炎天下に長時間……というときは、事前・事後に「食べるUVケア」としてお忘れなく。

 水を補うためにおすすめの肉は「豚肉」です。その効能は「潤燥」といって、乾燥を防ぎ、体内を潤わせる作用が高いのです。

 野菜ではトマト。熱を冷ます高い暑気払い効果とともに、体に必要な水分を与えてくれます。体液を増やし、保水力の高いオクラもおすすめです。フルーツはキウイ、パパイア、マンゴーが乾いた体を癒やすパワー大。外出時には、ジューススタンドに行けば、サクッと潤いチャージができるはず。

 手軽に取り入れるなら梅干しを。のどの渇きを抑えるとともに、体液を増やす作用があります。夏場の食欲不振にもよく、まさに「夏バテ撃退サプリ」!

 さらに、完璧なる夏バテ改善のためには、汗と一緒に失った「気」を補う食材をプラスするのがおすすめ。豆類、イモ類、キノコ類、ブロッコリーなども取り入れて、猛暑知らずのパワフルボディーをつくりましょう。

■夏バテ撃退薬膳レシピ

焼豚とブロッコリースプラウトの梅ごま風味

 体に水を補給する豚肉と、梅干しの「潤いタッグ」に、気を補うブロッコリーをスプラウトで組み合わせた夏バテ撃退レシピ。梅とごま油の風味で、焼酎のおつまみにぴったり。冷ややっこや、ゴハンにのせてもおいしくいただけます。梅干しは、甘くないものがおすすめ。塩の加減で使う量は調整を。

【材料】
●焼き豚  50グラム
●ブロッコリースプラウト  1パック
●梅干し 2分の1~1個
●ごま油  少々

【作り方】
 焼き豚は食べやすく切り、ブロッコリースプラウトは根元を切り落としてボウルに入れる。叩いた梅干し、ごま油も加えて全体をあえる。

池田陽子

池田陽子

薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト・全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。国立北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で国際中医薬膳師資格を取得。近著「1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日」が好評発売中。

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