みんなの眼科教室 教えて清澤先生

緑内障が不安なら…試したい眼科の2つの新たな検査

写真はイメージ
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【Q】緑内障が心配で昔からかかりつけの眼科医院に通っています。先生は優しいのですが、検査はいつも同じ機器です。いまは新しいタイプがあってより精密な検査もできると聞きます。どんな機器があるのでしょうか。(56歳・女性)

【A】眼科には多くの検査機器があります。今回はその中から2種類の新たな機器を紹介したいと思います。

 従来からの眼科の検査では、最善の矯正視力と眼圧を測定した後、細隙灯を用いて角膜や水晶体を観察し、白内障などの有無を判断します。そのあとで、眼底を眼底鏡で観察して、必要に応じてさらなる検査に進み、網膜や視神経の変化を探します。

 とくに緑内障では、眼底にある視神経の中央の窪みが大きく広がっています。その場合には、まず「ОCT」を使って視神経と網膜の変化を数値で評価します。その結果、視神経や網膜の萎縮が疑われるならば、次に視野の測定が行われます。こうして、緑内障をはじめとする視神経や網膜の病変の診断が確定されるのです。

 ОCTとは光干渉断層撮影の略で、光の干渉現象を利用して眼底の立体構造を知ることができます。この装置を眼底に使うと、簡単に目の奥の網膜や視神経の断層面の観察ができ、緑内障のほか、加齢黄斑変性や近視性黄斑変性といったさまざまな眼底疾患の早期発見や精密な検査が可能です。国産でも優れた数社の製品が海外産の機器とともに普及しています。

「ОCTアンギオグラフィー」は、OCTを用いて眼底の血管形態を描出する新しい検査方法です。使用する機器は上記のOCTと同じ機器に組み込まれています。従来の網膜血管撮影の検査は、造影剤を静脈から注射して青い光で照らし、緑色のフィルターで反射して返ってくる光を撮影するというシステムでした。これは患者さんの肉体的な苦痛も大きかったといえます。

 それがОCTアンギオグラフィーは、薬剤の注射なしでそれまでの網膜血管撮影とほぼ同等の検査結果が得られるようになりました。糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性といった網膜や脈絡膜の血管病変に対し、詳細な検査が容易に可能となっています。

 これらの諸検査で異常が見られたとき、次に行うのが「ハンフリー静的量的視野検査」です。視野検査は、緑内障、視神経疾患、網膜疾患において、モノが見える範囲がどの程度侵されているか、あるいはどの程度残っているかを片眼ずつで評価する検査です。静的というのは視野計のドームの中に動きのない視標を提示するという意味で、静かに…ということではありません。

 視標はさまざまな明るさで提示され、それに対する視覚反応を定量的に評価するように検査は設定されています。この検査は特に緑内障の診断には不可欠です。

清澤源弘

清澤源弘

1953年、長野県生まれ。東北大学医学部卒、同大学院修了。86年、仏原子力庁、翌年に米ペンシルベニア大学並びにウイリス眼科病院に留学。92年、東京医科歯科大眼科助教授。2005-2021年清澤眼科院長。2021年11月自由が丘清澤眼科を新たに開院。日本眼科学会専門医、日本眼科医会学術部委員、日本神経眼科学会名誉会員など。

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