健康長寿のために心がけたいのが「血行促進」。血液を心臓から全身に送り届ける働きをする動脈は、年を重ねるにつれてコレステロールや中性脂肪などがたまり、弾力性を失う「動脈硬化」を引き起こしやすくなります。「人は血管から老いる」と言うように、動脈硬化が進むと血流が悪くなり、全身の臓器の機能が低下することで老化が進行。さらに、心筋梗塞や脳梗塞といった病気のリスクも高まります。
中医学においても、「血の巡り」が悪くなっている「瘀血」という状態は、全身の不調につながるとしています。体の末端にまで栄養が行き届かず、新陳代謝が低下して老廃物がたまりやすくなります。その結果、肩こり、頭痛、関節痛といった痛みを伴うトラブルが表れるのです。
また、体にしこりができやすくなり、がんなどの悪性腫瘍につながりやすいと考えます。女性の場合は子宮の不調につながりやすく、美容面においてはシミやクマ、肌のくすみを引き起こします。
健康な体のためには、血液をサラサラにして血管が詰まりやすい状態をなくし、全身にしっかり送り届けることが重要です。そのためには、薬膳で「活血」という効能がある食材を積極的に取り入れることがポイントになります。
活血食材の代表ともいえるのが「サバ」。血行を促進し、老廃物を洗い流す働きがとても高いのです。栄養学的にも、オメガ3脂肪酸の代表格であるDHAとEPAが豊富な魚で、脳機能や網膜機能の維持向上に役立ちます。さらに中性脂肪の低下にもよく、まさに「スーパーフード」ともいえるほどのパワーがあるのです。
サバは1匹買ってさばいて調理しなくても、さまざまな加工品で取り入れられるのが魅力です。その代表といえば「サバ缶」。うれしいことに、骨や皮もあますことなく詰め込んだサバ缶は、生のサバよりも栄養価が豊富です。
しめさばもおろす手間がいらず、味付けも不要。コンビニではスタンドパックの塩さばや味噌煮も販売されているので、バラエティーあふれるサバメニューで血液サラサラを目指しましょう。
サバの血流アップ効果を高めるには、同じ「活血食材」と組み合わせるのがおすすめです。ピーマン、パプリカ、タマネギ、チンゲンサイ、黒豆、黒キクラゲと一緒に取り入れると「究極のサバ薬膳」が完成します。
■サバ高齢薬膳レシピ
サバの中華ピーマン丼
活血食材であるサバとピーマンをダブルで取り入れられる丼。サバと生のピーマンは相性抜群。ごま油、ラー油の中華風な味付けで、ごはんが進むおいしさです。上だけおつまみにするのもおすすめ。
【材料】
●サバ水煮缶 2分の1缶
●ピーマン 3個
●ごはん 2膳
●ごま油、醤油、ラー油 適量
【作り方】
器にごはんを盛り、缶汁をきったサバとみじん切りにしたピーマンをのせて、ゴマ油、醤油、ラー油をかける。
健康長寿に役立つ高齢薬膳