時間栄養学と旬の食材

タコは疲労回復効果に加えコレストロールを分解する働きも

タコ
タコ

 マダコは三陸や瀬戸内海沿岸で取れ、明石沖で取れたタコは「アカシダコ」とも呼びます。あの有名な明石焼きをイメージされる方も多いのでは? マダコの旬は地域によって違い、三陸では11~12月なのに対し、瀬戸内海沖では6~9月ごろで「麦わらダコ」と呼ばれることも。国内一の水揚げ量を誇る北海道でもマダコが取れますが、実はミズダコのメスをマダコと呼んでいます。明石沖などで取れるマダコとは少し種類が違います。

 タコ焼きやお寿司のネタなど、日本ではタコはかなり一般的で、弥生時代の遺跡からもタコつぼ形の土器が発掘されたり、江戸時代のレシピ本にもタコ料理の記載があります。日本のように世界的に見て昔から食用にしている国は、スペイン、メキシコ、イタリア、ギリシャなどの地中海地域にみられます。一方、フランスやドイツなどの西欧地域ではデビルフィッシュ(悪魔の魚)と呼ばれ食されないとされてきましたが、近年ではスーパーに並ぶようです。「タコが好き!」「タコ焼きは食べられるけどタコは嫌い」……など、好みは分かれますが、さまざまな調理法でお総菜などに用いるお店も増えてきているそうです。

 そんなタコの中には、動脈硬化予防や肝機能強化のほか、眼精疲労をはじめとする疲労回復に効果のあるタウリンが豊富です。マウスを用いた実験にはなりますが、タコをコレステロールが多い食餌と一緒に食べさせたところ、肝臓のコレステロール濃度が有意に低下していたことも報告されています。タウリンは肝臓で胆汁酸の分泌量を上げ、コレステロールを分解して体外に排出させる働きがあるので、コレステロールが原因となる胆石症の予防にも役立つと言えるでしょう。

 また、毛細血管を広げる働きのあるナイアシンや、血液の循環を良くするビタミンE、亜鉛、鉄、マグネシウムも含まれますので、高血圧の予防にも効果的。40~59歳の日本人男性を対象とした実験でも、タコを含むシーフードを喫食することで冠動脈疾患の予防効果があるという報告もあります。

 タコは低脂質・低カロリー、DHAやEPAの量もそこまで多くないので夜向きの食材です。疲れた体をねぎらうために、夕飯に召し上がってみてはいかがでしょうか。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

関連記事