アメリカのこの夏の旅行者の数はパンデミック前の水準に戻りました。そこで話題なのが、ニューヨークの高級別荘地に向かう大渋滞と、トイレ対策です。リッチなニューヨーカーがトイレ休憩を減らすための、特別な施術を受けているというのです。
マンハッタンのお金持ちの別荘が立ち並ぶ避暑地ハンプトンズには、通常なら車で2時間ほどで行くことができます。ところが夏の繁忙期には大渋滞となり、4〜5時間かかるのは当たり前。そこで困るのがトイレです。
アメリカのフリーウェイには、日本の高速のように整ったサービスエリアや清潔な公衆トイレがありません。その都度探すことになりますが、なかなか見つからないこともしばしばです。たとえ高級車に乗っていても、長時間我慢したり、トイレを探すストレスは一般人と同じ。でもその対策は一味違うというネット記事が話題になりました。
インサイダーの記事によれば、トイレの回数を減らすための施術は、女性は膀胱ボトックスと呼ばれるボツリヌス毒素膀胱壁内注入療法。内視鏡を使ってボツリヌス毒素を膀胱壁内に注入し、筋肉を緩め膀胱の過活動を抑える方法です。アメリカでは顔にボトックスを注射する美容施術が大人気ですが、こちらは筋肉を緩めてシワを減らすもので、基本的に同じ原理です。
一方、男性はPAEと呼ばれる前立腺動脈塞栓術で、良性前立腺肥大症の治療に使われる方法です。PAEは、肥大した前立腺に血液を供給する動脈に微小な球体を挿入、血流を止めることで前立腺肥大を改善させます。いずれも日帰りで受けられる手術で、副作用なども少ないとされています。
インサイダーが取材した専門医によれば、こうした施術の需要が、富裕層がハンプトンズに通い始める春先から増え始めたとのこと。治療を受けているのは、男性は50〜60代が中心、女性は20代から80代まで。いずれも保険が適用され、特殊な治療ではないと説明しています。
でもアメリカの医療保険は保険料によって受けられるサービスが大きく違います。やはり一般人が気軽に受けられるものではないことが、記事からは匂ってきます。
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