オミクロンBA5株の感染が収束しない中、アメリカではサル痘患者の数が過去3週間で3倍に増加しました。中でもLGBTQコミュニティでの感染が目立ち、懸念が広がっています。
サル痘はすでに、世界71カ国で1万5000人以上が感染しています。WHO世界保健機関は、グローバルな警告を出すかどうかの検討に入ったと伝えられています。
アメリカでは5月に初めての患者が見つかりましたが、当初はそれほど深刻に捉えられていませんでした。
ところが7月20日現在の感染者は2300人で、3週間前の3倍に増加。特にニューヨーク市内では8倍の711人となり、予想しなかった突然の感染拡大に驚きと不安が広がっています。
サル痘は、ウイルス感染よる急性発疹性疾患です。アフリカに生息する齧歯類が自然宿主と疑われていますが、現時点では明らかになっていません。主な症状は発熱と発疹で、2〜4週間で快復するとされています。先進国での死亡例は報告されていません。しかしこれまで経験したことのない病気だけに情報が少なく、多くの医師もその実態を把握できていません。
ある患者はSNSを通じ、発疹部分にかなりの痛みがあることを訴え、別の患者はリンパ節の腫れ、頭痛、発熱、極度の疲労感などを共有。多くの関心が集まっています。
サル痘を予防するワクチンはありますが、今国内に流通しているのはわずか19万回分で、全く足りていません。バイデン政権はさらに250万回分のワクチンを注文したと発表しましたが、届くのは来年になると見られています。こうした政府の対応の遅さや周知の不足にも、批判が出始めています。
特に感染拡大を危惧しているのはLGBTQコミュニティです。ニューヨークの感染者のうち、実に6割をLGBTQが占めていますが、その理由はわかっていません。噂や憶測、間違った情報によって起こる差別や偏見を、彼らは感染と同じくらい恐れています。
こうした中、あるアメリカの関係者は「もう感染を封じ込められる段階ではない」とコメント。
もしそうだとしたら、今後いったいサル痘はどこまで広がるのか、ワクチンの確保はどうなるのか。政府からの正確な情報開示を求める声は、日に日に強くなっています。