新型コロナはようやく沈静化してきたが、その裏で「サル痘」なる病気が、じんわりと広がり始めている。先月初旬から、北米と西ヨーロッパを中心に患者が増え続けており、累計で1200人を超えている。サル痘ウイルスという、天然痘ウイルスの親戚による感染症だ。初期には発熱、倦怠感、リンパ節の腫れなどの症状が見られ、その後は大豆ほどの大きさの発疹が顔、手、体幹などに生じてくる。
中央アフリカや西アフリカの風土病だが、ウイルスは1958年にデンマークで発見された。ポリオワクチンの研究のために飼われていたサルが、天然痘のような症状で次々と死んだことから発見に至ったのである。
先進国では、流行地に滞在した人が帰国後に発病することがまれにあったが、これほどの患者が、同時に、かつ広域に、発生したことはない。そのため某国によるバイオテロではないか、という噂がネットで流れたりしている。だが、その可能性は低いだろう。