時間栄養学と旬の食材

【シークワーサー】アルツハイマー病の進行を抑える効果も報告

シークワーサーは記憶障害の改善や、がんの活性を押さえる働きがある
シークワーサーは記憶障害の改善や、がんの活性を押さえる働きがある

 沖縄方言であるシー(酸っぱい)+クワーサー(食べさせる)を足し合わせた言葉を由来とするシークワーサーは、食欲のない時、元気のない時に喫食する習慣がある沖縄原産のフルーツです。古来、日本に原生していて、不老長寿の生薬としての利用もなされていました。「ヒラミレモン」とも呼ばれていましたが、現在はシークワーサーのほうが有名です。

 そんなシークワーサーが一躍有名になったきっかけの栄養素が「ノビレチン」です。ノビレチンは柑橘系の植物に含まれるフラボノイドの一種。東北大学の研究チームによる報告では、ノビレチンを投与したマウスが、投与していないマウスと比較して、アルツハイマー病の進行を食い止めるとともに、記憶障害が改善されていることが分かっています。

 ノビレチンエキスは記憶障害を改善する作用や、認知症を引き起こす原因とされる脳の神経細胞のネットワーク機能が著しく回復する効果があることが分かり、認知症の予防・改善の特効薬として注目を集めているのです。その他にも血糖値の上昇を抑制したり、がんの活性を抑えたり、痛風の原因となる尿酸産生を抑えたりする効果も報告されています。

 ノビレチン以外にも抗炎症作用の強いタンゲレチンや、コレステロール値の上昇抑制やアレルギーへの効果があるヘスペリジン、精神をリラックスさせ快眠効果の高いリモネンが含まれますし、疲労回復に効果的なクエン酸がレモンの2.2倍、梅干しの1.6倍も含まれているのも特徴的です。脳の記憶領域は就寝時に活性化し、一日の情報を整理することが分かっていますので、疲労回復と合わせて夜ご飯向きの食材といえるでしょう。

 収穫時期の8月ごろから刺し身や酢の物、焼き魚に添える酸味づけ用の若い果実が、12月ごろには生食できるほど熟した果実が収穫されます。

 ノビレチンの量は青くて酸っぱい若い果実のほうが多いという報告もありますので、ぜひこれからの時期に収穫される旬のシークワーサーを召し上がってみてはいかがでしょうか。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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