年を重ねるにつれて生じやすいのが、爪の変形によるトラブルです。シニアによく見られるのが「肥厚爪」。爪は加齢とともに伸びるスピードは遅くなり、厚みが増していきます。また、皮膚同様、乾燥が進んで硬くなってしまいます。さらに、運動量の低下も爪の変形の原因になります。爪は歩行によって下からの圧力がかかり、平らな形を維持しながら前方へ伸びていきます。ところがあまり歩かなくなると、爪は湾曲して伸びなくなってしまうのです。
爪が厚くなると、靴が履けなくなったり、歩行時に痛む、足指に体重がかけられずに歩きづらいといった不調につながります。さらに巻き爪になりやすく、皮膚に食い込んで痛みや炎症を起こした「陥入爪」という状態になりかねません。重症化すると姿勢や歩き方も悪くなるため、足腰の痛みを引き起こしたり、転倒の原因になってしまいます。
爪は体を支えて安定させたり、歩行時にはバランスをとる重要な役割を果たしています。生涯現役を目指すなら、たかが爪のトラブルと思わずに、ケアをすることが大切です。
中医学において、爪は「肝」と呼ばれる臓器と関係が深いとされています。「肝の華は爪である」といわれ、肝の状態は爪に現れると考えます。よって、肝の働きが衰えると爪にトラブルが見られるのです。肝は血を貯蔵するとともに、全身の血流を調整する働きがあります。血の不足も、ひいては爪に悪影響を及ぼしてしまうのです。
健康な爪を育むためには肝の働きを高め、血を補う食材を取り入れることが大切です。
おすすめはアナゴ。肝のパワーをアップしてしっかりと血を増やす効果が高い魚介です。また、人間のエネルギー源である気を補う働きにも優れ、滋養強壮、免疫力アップにも役立ちます。そのほか、疲れ目、高血圧、動脈硬化にも良く、シニアには積極的に取り入れていただきたい食材です。
お寿司やてんぷらのイメージが強いアナゴですが、スーパーで煮アナゴや白焼き、かば焼きが販売されています。刻んでひつまぶしのようにしたり、サラダにトッピングするのもおすすめです。
アナゴの爪のトラブルを改善する効果を高めるためには、同様に肝に作用し、血を増やす働きがある小松菜、ホウレンソウ、ニンジン、黒ゴマなどと組み合わせると良いでしょう。
肝の働きを強めるアナゴと、血をしっかり補う小松菜を組み合わせた爪強化レシピ。煮アナゴとシャキッとした小松菜を卵がやさしくまとめた一品です。丼にするのもおすすめ。
■アナゴ高齢薬膳レシピ
アナゴと小松菜の卵とじ
【材料】2人分
・煮アナゴ 1匹
・小松菜 150グラム
・卵 3個
・A(だし 150㏄/しょうゆ、みりん、酒 各大さじ2)
【作り方】
鍋にAを加えて煮立て、食べやすく切ったアナゴ、ザク切りにした小松菜を加えて、火を弱め、5分煮る。溶きほぐした卵を回し入れ、ふたをして、好みの加減で火を止める。
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