科学が証明!ストレス解消法

朝型タイプは夜型タイプより脳の一部領域の活動が低下する

早朝ジョギングは体にいい?
早朝ジョギングは体にいい?(C)日刊ゲンダイ

 朝に体を動かすことはとても良い習慣です。仕事ができる人は、朝からジョギングやストレッチなど、何かしらの運動や習慣を持っている──皆さんの周りにもそういった方はいるのではないでしょうか?

 実際、米イリノイ州にある高校で、ジョギングでも何でも生徒の好きなものでいいので、毎朝必ず運動をさせるようにしたところ、学力が上がって公立校で全米1位になったという報告があるそうです。

 心拍数をある程度上げられる運動、つまり少しくらいキツいと感じるような運動をすると、心臓から脳にどんどん血液が送り込まれるため、脳がベストな状態になりやすいといわれています。朝から体を動かすためには、早起きが必要ですから「早起きは三文の徳」とも考えられますが、科学的には必ずしもそうとは言い切れないようなのです。

 イギリスのウェストミンスター大学で、2日間にわたってさまざまな睡眠リズムを持つ42人のボランティアの唾液を1日8回分析したところ、早起き傾向にある人は睡眠が長い人に比べて、より多くのコルチゾールが検出されました。コルチゾールは、本来、ストレスを抑制するために分泌されるホルモンです。ということは、無理して早起きをするとストレス値が上がるわけです。

 また、ベルギーのリエージュ大学では、15人の極端な朝型タイプと、15人の極端な夜型タイプを対象にした検証(2015年)を行っています。それぞれのタイプの起床時と10時間半後の脳の活動を測定してみたところ、朝型も夜型も起床時の生産性は変わらなかったのですが、10時間半後の計測では変化が生じたといいます。朝型タイプの脳は、注意力と概日リズムに関連する領域の活動が、夜型タイプよりも低下していました。

 このように、無理をしてまでの早起きは、必ずしも「良い」とは言い切れないんですね。

 夜更かしに関する次のような興味深いエビデンスも存在します。

「同性同士で夜更かしするより、異性と一夜を共にしたほうが、翌日の眠気が軽くなる」というインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究結果(2017年)があります。ただし、こちらの実験、実はハエで検証したものなので、興味半分でお聞きください。

 そもそも寝不足状態を続けた後に眠ると、リバウンドでいつもより睡眠時間が長くなることが明らかになっています。これは人間も同じです。

 先の実験でもっともリバウンドが少なかったのは、メスのハエを入れたケースだったのですが、メスのフェロモンを部屋に噴霧したケースでも同様の効果があったそうです。つまり、メスのハエがいなくても、メスのフェロモンだけで夜更かし後のリバウンド睡眠が軽減されたのです。あくまでハエのお話ですから、どこまで信用するかは人それぞれでしょう。

 ひとつだけ言えるのは、早起きが苦手な人は、無理をする必要はないということ。苦手なアクションは、それ自体がストレスになりますから、「三文の害」になることをお忘れなく。

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堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

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