命に関わるわけではないけれど、シニアが注意したいのが「水虫」です。足だけでなく、全身のトラブルを引き起こしかねません。水虫は白癬菌が足に感染する疾患。加齢に伴って皮膚の免疫力が低下するため、シニアは水虫にかかりやすいのです。さらに、代謝が落ちることで慢性化する傾向もあります。
水虫は初期の段階では、指の間の皮がむける、足の裏に水疱ができてかゆみがある、かかとが硬くなり痛むといった症状が現れます。放置すると、爪に白癬菌が入り込む「爪白癬」を引き起こす可能性が大。爪白癬になると、爪が変色し、分厚くなったり変形していきます。その結果、靴を履くときに痛んだり、歩きづらくなることもあります。また、足の指が地面にしっかりと着かないことで体のバランスを崩しやすく、転倒のリスクも高まります。
さらに、水虫になると皮膚の角層がむけてひび割れが生じるため、細菌感染を引き起こす場合もあります。糖尿病の人にとっては、重篤な状態になりかねません。たかが水虫と思わずに、早めの対策を心がけましょう。
中医学において、水虫は体の中の「湿」が原因と考えます。湿とは、体内にこもった余分な水分。水分過剰なタイプの人が水虫になりやすいのです。
湿は重く沈む性質があるため、下半身にトラブルが出現しがち。水虫になりやすいだけではなく、下痢、軟便といった不調も見られます。また普段からむくみやすく、体や手足が重だるい、頭がどんよりと重たかったり、過剰な水分が消化・吸収能力を低下させるため、胃もたれ、吐き気やめまいといった不調も現れやすくなります。
改善のためには、水分代謝をアップする食材を取り入れることが大切です。
おすすめはトウモロコシ。意外かもしれませんが、利尿効果絶大な食材なのです。消化吸収能力をアップして、胃の不調や疲労を解消する効果もあります。また血圧、血糖値低下にも役立ち、高い利尿作用で結石を出す効果にも優れています。単なる彩りのイメージではなく、積極的に取り入れたい食材です。
トウモロコシのヒゲは「南蛮毛」といって、利尿の生薬として使われています。生で購入した場合は、実をゆでるときに鍋にヒゲも投入すれば、「水出し効果」が倍増します。炒めものやスープに実を使うときには、細かく刻めば普通に食べられるので、一緒に使いましょう。ドラッグストアなどで販売されている、トウモロコシのヒゲを乾燥させた「コーン茶」もおすすめです。
トウモロコシの水虫を改善する効果を高めるためには、同様に利尿効果の高い豆類、アスパラガス、緑豆もやしなどと組み合わせるとよいでしょう。
■トウモロコシ高齢薬膳レシピ
中華風除湿コーンスープ
水分代謝をアップする働きに優れたトウモロコシ、枝豆、アスパラガスを組み合わせたスープ。クリームコーン缶を使えば手軽に完成。鶏がらスープ、ごま油で中華風の味わいが新鮮なコーンスープです。
【材料】2人分
●クリームコーン缶(小) 1缶
●アスパラガス 3本
●むき枝豆 20粒
●鶏がらスープのもと 小さじ1
●ごま油 小さじ1
●しょうゆ 少々
●塩・こしょう 適量
【作り方】
鍋にクリームコーン、水2分の1カップ、鶏がらスープのもとを入れて加熱し、煮立ったらアスパラガス、枝豆を加えて火を弱め、野菜に火が通るまで煮る。仕上げにごま油、しょうゆを加えて風味をつけ、塩・こしょうで味を調える。
新著「中年女子のゆる薬膳。」(文化出版局)が好評発売中。