指のこわばり、耳鳴り、めまい…更年期症状は意外なものがいっぱい

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 大塚製薬が全国の日本人女性45~59歳1612人のうち、更年期症状があると回答した366人を対象に調査を実施。更年期症状があるものの、かかりつけ婦人科医がいない人は55%と半数以上だった。更年期症状とうまく付き合うには、正しい知識が必要。多くの更年期世代の女性に取材経験がある、メノポーズカウンセラーでライターの日々晴雨氏に、更年期症状について話を聞いた。

【更年期とはいつ?】

「閉経の前後10年を更年期と言い、平均的な閉経年齢が50歳ですから、一般的には45歳から55歳を指します」

 ただ、閉経年齢は人によって異なる。

【なぜ不調が生じる?】

 閉経年齢にかかわらず、多くの女性が40代に入ると、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が急激に減少する。

「それに体がついていかず、不調が生じるのです。これを『更年期症状』、日常生活に支障が出るほど重い場合は『更年期障害』と呼びます」

【症状は?】

 更年期症状といえば、イライラやホットフラッシュが頭に浮かぶ。

「しかし、実はそれ以外にも更年期症状は非常にたくさんあります」

 イライラやホットフラッシュはよく知られているため、「更年期だからかな」と思い、なんらかの対処方法を考える人は少なくない。しかし、それ以外の不調については、女性ホルモンの減少が関係あるかもしれないとは結びつきにくい。

「婦人科ではなく、まず他の科を受診してしまう。そこで『異常なし』と言われるものの、症状が治まらず病院を渡り歩く、いわゆるドクターショッピングに陥る人も珍しくありません」

 もちろんほかの病気が潜んでいる可能性もある。なんでも更年期のせいにするのはよくないが、更年期世代なら「体調不良は女性ホルモン減少の影響も疑ってみる」という意識を持っていて損はない。

【これも更年期症状?】

 一見、更年期が原因とは思わない症状も。

「例えば、指のこわばり。皆さん、まずリウマチを疑い内科やリウマチ科を訪ねます。ところが検査で異常なしとなり、それでも治らずに途方に暮れてしまう」

 耳鳴りや動悸、めまい、性交痛。また「突然大量の汗をかく」とまではいかないとしても、「常に体が熱い」と感じる人はとても多い。

「更年期になって、好きだったタートルニットが着られなくなったと嘆く声は周囲でよく聞きます。ほかには、頭痛、便秘、不眠や寝汗にうつ気分なども多い症状です」

【治療法は?】

「ホルモン補充療法(HRT)や漢方治療のほか、内科ではプラセンタ注射をすすめるお医者さんも最近多いです」

 HRTの薬は市販薬ではないので婦人科で処方してもらう必要がある。

 更年期世代にすすめられる漢方は「当帰芍薬散」「加味逍遥散」「桂枝茯苓丸」が主。漢方はその人の体つきや顔色などの「証(体質)」で処方が変わる。

 自己判断で服用するのではなく、漢方薬を処方する婦人科や内科で相談してみるべきだ。

「私が更年期世代の女性を取材して痛感したのは、症状や悩みを誰かに『話すこと』の大切さ。家族や友人に話しにくければ、最近は更年期世代が症状や悩みを語り合う場を設けるサークルのような集いもあります」

 話すことで「自分だけじゃない」と心が軽くなる人はかなりいるという。悩んでいる人は、行動範囲にそういう場や集いがないかをチェックしてみてはいかがだろう。

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