認知症とはみなさんご存じの通り、認知機能が低下し日常生活などに支障をきたしていく疾患です。
認知症は高齢になるに従い増加し、超高齢社会の日本では約460万人、実に65歳以上の高齢者の約15%が認知症を患っているとされ、2025年には65歳以上の人口の約20%(約730万人)が認知症を患う状況になるのではないかと予想されています。
認知症の原因の一つといわれているのが、アミロイドβ。脳内で作られるタンパク質で、いわばゴミのようなもの。これが排出されずに蓄積されると、神経細胞が死滅し、認知症の症状が出てきます。東洋医学では認知症に対し、自己調整機能を促すツボを使った「三焦鍼法」を用いています。これは、「体内・脳内・血管内にゴミ(アミロイドβ)を作らない、ためない、たまったゴミを取り除く」を目的とするもの。
「三焦鍼法」では特に糖代謝系を活性化することで抗認知症効果の可能性があるとされています。各人が持っている「正気の力(免疫力・抵抗力・自然治癒能力など)」をいかに引き出すかが大切になります。
私の同僚の中には、家族がレビー小体型認知症となり、さまざまな治療を受ける中で鍼灸と出合い、それによる症状の改善に感動し、自らも鍼灸師の資格を取り、現在は高齢者施設などで日々施術を行っている者もいます。
神奈川歯科大学付属病院では認知症の専門外来を設けており、「医科歯科連携」による認知症予防に取り組んでいます。鍼灸は認知症の症状改善に効果が期待されているため、神奈川歯科大学は鍼灸臨床センターを設立し、そして付属病院の認知症専門外来と連携したプログラムの提供を始めています。
これからは東西の医学はもとより、あらゆるジャンルが力を合わせることで、認知症患者やそのご家族をはじめとする、すべての人の健康長寿の実現と延伸の効果が期待されています。