時間栄養学と旬の食材

【サクラエビ】葉酸、DHA、EPAが豊富で妊婦にもおすすめ

乾燥サクラエビ
乾燥サクラエビ

 サクラエビの旬は、産卵前の4~6月と産卵後の10~12月。静岡県の特産品にもなっている食材です。刺し身として生で食べられるほか、乾燥させて干しエビとしてもよく利用されます。いわゆる小エビ類をまとめてサクラエビと呼ぶことがありますが、本物のサクラエビは静岡県で取れる1種類のみ。サクラエビと見た目が似ているアキアミやオキアミなどが使われていることがほとんどです。

 そんなサクラエビは、丸ごと食べられる利点からカルシウムがとにかく豊富です。100グラム当たりの量で比較すると、乾燥サクラエビには牛乳の約20倍ものカルシウムが含まれています。1食当たり(大さじ2)約5グラムだとしても、それだけで牛乳100ミリリットルと同じくらいのカルシウムが摂取できる計算になります。また、殻にはキチンやキトサンと呼ばれる、脂肪やコレステロールを吸収しづらくしてくれる栄養素も含まれています。肥満、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病に役立つ報告もあります。

 さらに、がんや生活習慣病の原因物質である活性酸素を取り除いてくれる働きがあるアスタキサンチンも豊富です。現在までさまざまな研究がなされており、運動によって誘発される疲労、特に筋組織における疲労を回復してくれること、紫外線が原因となってシミやしわが引き起こされる光老化を予防してくれること、悪玉コレステロールの沈着によって起こる動脈硬化の予防、脂肪肝の予防、免疫力の強化にも役立つことがわかっています。

 目の健康にも効果的で、ぶどう膜炎と呼ばれる目の炎症や加齢黄斑変性症や緑内障の予防にも有効な成分であると考えられ、現在も研究が進められているそうです。

 そのほか、血液をサラサラにしたり、神経の発達に不可欠なDHA、EPAもエビの中では多く、生食で比較するとクルマエビの約4倍もの量が含まれていることがわかっていますし、妊娠中に多く取ることが推奨される葉酸も豊富です。加工法で比較すると、乾燥サクラエビが一番効率的に葉酸を摂取することができるでしょう。

 カルシウムを効率的に取ったり、疲労を回復したいのであれば夜に、朝シャキッと目覚めたいのであればDHA、EPAを取るつもりで朝に──と、目的に応じて食べる時間を考えてみてもいいかもしれません。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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