認知症を予防する補聴器のすべて

補聴器は購入後の調整が必要 聞こえづらければ早めに相談を

調整が必要(C)Rawpixel/iStock
調整が必要(C)Rawpixel/iStock

 これまでご来店いただき補聴器を購入された方の事情はさまざまです。その方の聴力や生活環境に応じておのずと補聴器を使う目的も変わってきます。補聴器はその人の心と体を支えるだけでなく、社会参加を促す社会インフラ機器の一面もあるのだという思いを強くするようになりました。

 お客さまと接する中で、男女による違いや年齢によって、補聴器に対する考え方や関わり方に違いがあることも知りました。

 当店ではご相談に来られるお客さまによく補聴器のレンタルを提案しています。それは実際に日常生活の中で補聴器を使ってもらって、補聴器が日常生活の中で役に立つかどうかを実感してから購入していただきたいからです。

 そのレンタルは、これまで女性のお客さまはほぼ7割の方がレンタルを希望されるのに対し、男性は約半数にとどまり、男女による違いがありました。女性の方がフットワークが軽く気軽に試してみようとされるのかもしれません。

 ですがその一方で、購入を決める割合は男性の方が逆に多いという結果です。

 また、意外にも補聴器を既に持っている方(集音器も含む)がお客さまの半数を占めていました。もちろんその中には、買い替え希望の方もいらっしゃいますが、その場合も補聴器は買ってから調整する必要があることも知らず「思ったより聞こえない」「音は聞こえるが言葉として聞こえない」など、せっかく買ったのに不便を放置したままにし、使いこなせない方が大半でした。

 日本補聴器工業会が実施した調査でも「難聴に気づいてから補聴器を購入するまでに平均4~6年が経過している」という結果も出ています。

 聞こえづらさを感じたり、補聴器が聞こえづらかった場合は、我慢せず耳鼻咽喉科の医師や補聴器の専門店に相談し、早めに補聴器の装着や調整することをお勧めします。

田中智子

田中智子

シーメンスの補聴器部門でマーケティングの勤務を経て、2020年補聴器販売会社「うぐいすヘルスケア株式会社」設立。認定補聴器技能者資格保持。

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