元気で幸せに過ごすために今すぐできる4つの方法 「明治一受けたい授業」の教授がオススメ

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 明治大学の堀田秀吾教授は、画期的な授業スタイルから「明治一受けたい授業」にも選出された名物教授。本紙の毎週木曜発行の紙面で「科学で証明! 本当に信用できる ストレス解消法」を連載中で、2022年11月には、連載内容を再構築し大幅加筆した「『不安』があなたを強くする 逆説のストレス対処法」(講談社)が出版された。その堀田教授が推奨する、高いQOL(生活の質)を保ち、元気で幸せに過ごせるエビデンスに基づく方法を4つ紹介する。

■背筋を伸ばす

 猫背になっている人は、意識して背筋をピンと伸ばすべし。

「カルガリー大学のリスカインドとテキサスA&M大学のゴティの研究で、背筋を曲げた場合、無力感やストレスを感じがちになる傾向が観察されました。さらにハーバード大学のカーニーらの研究では、やる気も左右するという結果が出たのです」(堀田教授=以下同)

 被験者を「堂々とした姿勢」群と「縮こまった姿勢」群に分類。それぞれがギャンブルに挑戦すると、前者の方がリスクの高い賭けに好んで臨み、決断力・積極性・攻撃性・負けず嫌いに関連するホルモン「テストステロン」の増加が顕著で、ストレスホルモンの「コルチゾール」が低下していた。

 堀田教授は講議中、学生たちに「1分ほど背筋を伸ばして」と指示することがある。

「眠たそうな学生も、その後は話に耳を傾けてくれる。ほんの少しの工夫でストレスが減り、心が元気になるのです」

■昼寝をする

 NASAの研究に「26分の仮眠で、パフォーマンスが睡眠前よりも34%向上する」というものがある。

「NASAのローズカインドらが、飛行機のパイロットたちにコックピットで仮眠をとらせる実験を行ったのです。すると、平均26分の睡眠をとった時にパフォーマンスが最も向上。その向上率は34%という、驚きの結果でした」

 一方で、30分以上寝ると生産性が落ちることも実証されている。

 昼過ぎに眠くなるのは、体内リズムに沿った自然な現象だということがわかっている。無理して起きて仕事を続行するよりも、ぜひ昼寝を。昼寝直前にカフェインを取ると、目覚めた後にさらにスッキリ。

■温水に手をつける

 だれにでも、やる気が出ない時はあるだろう。休日ならぼんやりして過ごせばいいが、仕事を抱えていれば、そうもいかない。

「北海道大学の矢野らが脳血管障害の患者を対象に行った研究があります。38度の温水に10~15分ほど手首をつけて手を温めると、患者さんの痛みが緩和され、爽快感が増加。ポジティブな言葉を発するようになり、病気の回復に対する『やる気』が向上しました」

 お風呂につかれれば言うことないが、時や場所を選ぶ。手を温水につけるだけなら、やろうと思えば、会社でだってできる。たらいをデスクに常備しておくのも悪くない。

■コーヒーの香りを嗅ぐ

「コーヒー豆の香りには、睡眠不足や疲労の原因とされる活性酸素によって破壊された脳細胞を呼び戻す効果があるという、ソウル大学のスーらの研究があります」

「正常なネズミ」と「24時間寝ていないネズミ」双方にコーヒーの香りを嗅がせた。すると、寝不足のネズミではストレスから脳を守る分子の量が減少していたが、コーヒーの香りを嗅ぐと、部分的に回復した。

 この研究はコーヒーの「香り」についてだが、コーヒーは、複数の健康効果が報告されている。たとえば、国立がん研究センター予防研究グループは、習慣的にコーヒーを飲む人は心臓病、脳卒中、呼吸器疾患による死亡リスクが低下するとのコホート研究の結果を発表している。カフェインの炎症予防効果と、酸化を防ぐポリフェノールの相乗効果だと考えられている。

「コーヒーナップといって、コーヒーを飲んで30分ほど昼寝をすると、コーヒーのカフェイン効果は飲んでから30分後に表れるため、目が覚めた後は頭が冴え、昼寝の効果と合わさって、仕事の効率が上がりますよ」

 ただし、夜に飲むとカフェインによって睡眠の質が低下しかねないので、要注意。

堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

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