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【アーモンド】悪玉コレステロールを抑える不飽和脂肪酸の塊

アーモンド
アーモンド(C)日刊ゲンダイ

 アーモンドは元々、桃と同じ原種。「扁桃」とも書きます。諸説ありますが、アーモンド粒の形状が扁平だったから名付けられたのが由来といわれています。米カリフォルニア州からの輸入が多いイメージでしたが、近年は鹿児島県の湧水町でも栽培できることがわかり、町おこしの一環として2015年に約2000本の苗を植栽し、アーモンドの丘として話題になっています。

 そんなアーモンドには脂肪酸が多く含まれます。脂肪と聞いてちゅうちょしてはいけません。何とその7割は体内に必要な不飽和脂肪酸(一価不飽和脂肪酸)で構成されていて、特に悪玉コレステロールを抑えるオレイン酸がその99%を占めています。オレイン酸はオリーブオイルにも多く含まれる脂肪酸のひとつです。カリフォルニア州で、高血圧患者に1日100グラムのアーモンドを摂取させると、3週間で血中コレステロール値を8~15%低下させたという報告も。また、ナッツ類の中でも食物繊維が11.8%と非常に多く含まれるのでダイエットにも効果的! 慶応義塾大学の研究によると、1日25粒のアーモンドを食べる以外は普段通りの生活をしてもらったところ、最初の3カ月間で自然に間食を調整するようになり、体重が平均2.9キロも減少したことが報告されています。

 同じ研究室の別の試験では、アーモンド入りのチョコレートを継続して取ることによって肌のターンオーバーが向上するという結果が出ました。チョコレートのポリフェノールなども関係しているかもしれないと考察していますが、アーモンドに含まれているビタミンB2には、健康的な肌や爪、髪を維持する働きがありますし、活性酸素を抑えて老化防止に役立つビタミンEも大変多く含まれています。実際、試験中の目尻の写真を見ると、アーモンドチョコレートを摂取した人は小ジワが減ったことがわかっています。また、マウスの実験でも紫外線による皮膚老化や皮膚中の過酸化脂質の増加が抑えられたという報告もあります。

 その他、脳梗塞や認知症予防、抗菌作用ならびに抗ウイルス作用も報告され、まさに「スーパーフード」と言えるでしょう。

 夜間は脂質の代謝が落ちやすい時間帯です。日中の中でも特に日光に当たる前の朝に、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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