健康長寿に役立つ高齢薬膳

【サトイモ】「気」を補い免疫力を高めて粘膜の炎症を抑え花粉症を改善

サトイモと大豆のサラダ(提供写真)
サトイモと大豆のサラダ(提供写真)

 なんだか鼻がむずむず、目がかゆい……。花粉症の人にはつらいシーズンがやってきました。

 一般的な花粉症の症状は、鼻水、鼻づまり、鼻のかゆみ、くしゃみ、目のかゆみや充血、異物感などが挙げられます。以前は発症するのは50代ぐらいまでといわれていましたが、年々、シニアにも多く見られるようになり、増加傾向にあります。

 花粉症はほかのトラブルを引き起こす原因にもなります。鼻が乾燥してむずむずする、痛みがあるといった症状が見られる「ドライノーズ」は花粉症によって発症する場合も。また、乾燥によって鼻の粘膜が弱り、喉の腫れや痛みが起きたり、感染症のリスクも高まるのです。

 そもそも花粉症は生活の質を大きく下げてしまうもの。食事で早めに対策を講じましょう。

 中医学では花粉症を引き起こす理由として、人間のエネルギー源である「気」が関係しているとしています。気が不足すると免疫力が低下し、抵抗力がなくなるのでアレルギー物質が侵入し、症状が発生してしまうのです。

 よって、花粉症を克服するには気をつかさどる臓器である「脾」を強化するとともにしっかり免疫力をアップする食材を取り入れることが大切です。

 対策として取り入れたいのはイモ類です。脾のパワーをアップし、気を補って免疫力を高める働きがあります。

 とくに、おすすめなのがサトイモ。滋養強壮に優れ、消化を助けて体調不良を改善する働きとともに、粘膜の炎症を抑える効果が高いのです。また、解毒作用にも優れ、体内に蓄積した老廃物を追い出すのに役立ちます。ほかに咳止めや痰のからみの改善にも効果大。女性にとっては肌のキメを細かくするうれしい美肌効果もあります。

 サトイモの花粉症改善効果を高めるには、同じく気を補う働きがある豆類、キノコ類と組み合わせるのがおすすめ。また、アレルギー症状の改善に効果の高い青じそをプラスすると良いでしょう。

 また、花粉症には症状別の対策があります。

 水っぽいサラサラした鼻水が出て止まらない人は、体が冷えているのでショウガやネギを取り入れて。体を冷やす生もの、生野菜は控えてください。

 一方、粘り気のある鼻水、鼻のかゆみ、鼻づまりといった症状、目のかゆみや充血がある場合は、体に熱があるタイプ。ミントや緑茶を取り入れましょう。辛いもの、刺激物は慎むこと。

■サトイモ高齢薬膳レシピ

サトイモと大豆のサラダ

 花粉症改善に効果の高いサトイモと大豆、青じそを組み合わせたサラダ。市販のサトイモの煮物を使って手軽に完成するレシピです。オリーブオイルとレモンで調味すると、ワインのお供にもよい味わいに。薬膳効果とともに、味の決め手にもなる青じそは、たっぷりのせましょう。

【材料】2人分
●サトイモの煮物(市販品) 160グラム
●蒸し大豆(または大豆水煮) 50グラム
●青じそ 8枚
●A(オリーブオイル大さじ1、レモン汁大さじ1)
●塩 適量

【作り方】
サトイモの煮物をボウルに入れてスプーンなどでつぶし、塩を振って軽く混ぜた蒸し大豆も加え、Aを入れて全体をあえる。

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池田陽子

池田陽子

薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト・全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。国立北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で国際中医薬膳師資格を取得。近著「1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日」が好評発売中。

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