健康長寿に役立つ高齢薬膳

【サツマイモ】「脾」を強めて気をチャージする最高のご長寿食材

サツマイモのポテサラ風(提供写真)
サツマイモのポテサラ風(提供写真)

 最近、やたらと眠い。夜、しっかり寝ているのに日中、猛烈な睡魔が襲ってくる……。年齢を重ねると、神経の伝達機能が低下することによって、日中にうとうとする頻度が高くなる傾向があります。さらに、食事量が減ることによる栄養不足や、水分を確保する機能低下に伴う脱水症状も、眠気を引き起こす原因になります。また、シニアはさまざまな薬を服用していることから、その副作用が現れやすく眠気が起きる場合もあるのです。

 眠れないのも問題ですが、強い眠気も困りもの。アクティブな毎日を送るためにも、食養生で対策を講じましょう。

 中医学では、眠気は「脾」と呼ばれる臓器の働きが低下していると起きやすくなると考えます。脾は飲食物の消化や吸収をつかさどる臓器で、取り込んだ栄養を人間のエネルギー源である「気」に変えて、全身に送る働きがあります。いわば気を生み出す生命力の源ともいえる臓器です。

 生きるための「土台」ともいえる脾の働きが低下すると、疲れやすい、だるいといった症状が現れやすくなります。そして、睡眠時間に関係なく眠気が引き起こされがち。とくに食後に強く出てたまらない傾向があります。

 また、春はとくに気のエネルギーが躍動する季節。気が不足していると、体が対応できずに眠気が強まり、まさに「春眠暁を覚えず」状態になりやすいのです。新しい季節を快適に過ごすためにも、食養生を心がけましょう。

 改善のためには脾の働きを高めて、気を速やかに補う食材を取り入れることが大切です。おすすめはサツマイモ。脾を強めて、気をしっかりとチャージする優れた働きがあります。

 サツマイモは中国では古来、滋養強壮によく生命力を養う「最高のご長寿食材」とされています。虚弱体質の人はぜひ、コンスタントに食べていただきたい食材です。便秘の改善にも役立ちます。また、サツマイモの皮には血行を促進する効果もあるので、可能なときは皮ごと食べるのがおすすめです。

 サツマイモは、焼き芋や大学いもといったおやつのイメージが強いかもしれませんが、ジャガイモのようにサラダにしたり、肉と煮るとおかずとしておいしくいただけます。健康長寿のために、さまざまなアレンジで取り入れてみましょう。

 サツマイモの眠気改善効果を高めるには、同様に脾を強めて気を補う効果の高い鶏肉、豆類などと組み合わせるとよいでしょう。

■サツマイモ高齢薬膳レシピ

サツマイモのポテトサラダ

 脾の働きを高めて気を増やすサツマイモ、鶏肉、枝豆を組み合わせたレシピ。焼き芋を使えば、ゆでる手間が省けます。鶏肉もサラダチキンでお手軽に。甘いサツマイモがヨーグルトの風味でさっぱりとしたおかずサラダに。チラッとしょうゆをかけると、ごはんにも合う味わいに。

【材料】2人分
●焼き芋  1本
●サラダチキン  50グラム
●ゆで枝豆  40グラム
●A(ヨーグルト大さじ2、粒マスタード大さじ1、レモン汁小さじ1)
●塩、こしょう 適量

【作り方】
 焼き芋の皮をむき、実をボウルに入れてスプーンでつぶす。手でほぐしたサラダチキン、さやから出した枝豆、Aを加えて全体を混ぜ、塩、こしょうで味を調える。

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池田陽子

池田陽子

薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト・全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。国立北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で国際中医薬膳師資格を取得。近著「1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日」が好評発売中。

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