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【わらび】豊富な食物繊維で便通を促進し血糖値を抑制する

わらびは食物繊維が豊富
わらびは食物繊維が豊富

 わらびの歴史は古く、古代から日本や東アジアで食用や薬用として利用されてきた山菜です。「万葉集」や「風土記」にもわらびに関する記述があり、その存在が古くから認識されていたことがわかります。また、平安時代には、医学書である「和名抄」や「本草和名」においてわらびの薬効や利用法が記されているものもあります。名前の由来は諸説ありますが、新芽部分が子供=童(わらべ)が拳を握った形に見えることから、童がなまってワラビになったとか。

 その独特の食感と風味は、多くの日本人に親しまれ、和え物、煮物、おひたしなど、さまざまな料理に使われてきましたので、口にする機会も多いのではないでしょうか。

 近年では健康食品やサプリメントとしても利用されており、その健康効果に注目が集まっています。

 まずはその豊富な食物繊維。腸内環境の改善や便通の促進、血糖値の上昇を緩やかにする効果があることが分かっています。その構成は不溶性食物繊維がほとんどなので、たくさん食べることでお腹が張りやすいかも。海藻や大麦などの水溶性食物繊維と一緒に取るのがおすすめです。山菜は低糖質なものが多いのが特徴的ですが、わらびはとりわけ食物繊維が多いため、糖質が少なく低エネルギー。血糖値は夜に上がりやすくなるので、夕食に食べるのも良いでしょう。

 また、茹でたわらびには100グラムあたり160マイクログラムのβ-カロテンが含まれています。β-カロテンは体内で皮膚の粘膜の健康を保つビタミンAに変換され、薄暗いところでも視力を正常に保つ鳥目の予防に役立ちます。また、高い抗酸化作用を持ち、活性酸素の発生を抑え、取り除く作用もあります。同じ抗酸化作用が強いビタミンCやビタミンEも豊富なんです! さらに、血液の凝固を助けるビタミンKも含まれ、出血や出血性疾患の予防に役立つ可能性があります。

 わらびは生で食べるとプタキロサイドという回腸、盲腸、膀胱などにがんを発症させる物質を含んでいることが分かっています。ただし、灰や重曹を用いたあく抜きによりほとんどが除かれ、通常の食用頻度では問題がないとされています。不安であれば水煮の加工品を利用するのもひとつですね!

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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