タレントの休井美郷さん(32)が、自らのユーチューブチャンネルで子宮頚がんの前段階であることを告白したことが話題を呼んでいます。「『もうあと半年遅かったら……』って先生に言われたときは、怖すぎて本当に一瞬真っ白でした」と、診断当時はかなり落ち込んだようです。
子宮頚がんは、30~40代に発症のピークがあります。英語でマザーキラーと呼ばれるゆえんですが、男性も他人事ではありません。
子宮頚がんはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因です。その感染ルートはセックスですから、女性だけでなく、当然男性も感染します。
では、男性がHPVに感染すると、どうなるかというと、陰茎がんや肛門がんのほか、性感染症の一つの尖圭(せんけい)コンジローマになります。男女共通の病気として、最近は中咽頭がんが急増しているのです。
ここまでの説明で気づいた方もいるでしょう。これらの病気は、HPVがセックスによって体のどこに感染するかという感染部位の違いに集約されることが分かると思います。
尖圭コンジローマは陰茎のイボが症状の一つですから、女性がそんな男性と肌を重ねると、当然感染リスクが高い。ではコンドームをしていれば大丈夫かというと、膣や陰茎への感染リスクは減りますが、完全にゼロにはできません。最近は、オーラルセックスが定着しており、中咽頭がんの急増は、その影響と考えられます。
休井さんは女性専用の人間ドックで診断を受けたそうですが、子宮頚がん検診は6年ぶりだったとか。そのサボリが冒頭のショックにつながるため、「死ぬリスクを背負うか、(子宮頚がん検診の)時間を割くか」と早期発見のための検診受診を涙ながらにPRしています。
子宮頚がん対策の一つが、まさに休井さんが重要性を訴える検診で、もう一つがHPVワクチンの接種です。この接種が男女そろって進めば、子宮頚がんは撲滅できますし、実際、女性の接種率が6~8割の米英などは感染者数が激減。根絶は時間の問題です。
日本でそのカギとなるのが、停滞していた女性の接種の底上げと、男性の接種でしょう。千葉のいすみ市ではすでに市内の小6~高1の男子生徒への接種費の助成をスタート。今年8月には、同じ対象で東京・中野区も接種を始めると報じられています。
前述の通りセックスが感染ルートですから、男女とも初体験の前に接種することがとても重要。それが広がると、女性の子宮頚がんだけでなく、男性は陰茎がんや肛門がん、ひいては中咽頭がんの予防になるのです。