あばた顔であっても、恋をしている人にはえくぼのように好意的に見えてしまう……。そんな甘酸っぱい経験を持つ方は少なくないのではないでしょうか?
見た目に限った話ではなく、パートナーや好意を寄せている人に対して「ちょっと抜けているところもあるけど、そこがまた魅力的なんだよね」などなど、内面的な部分に対しても“あばたもえくぼ”と解釈することもありますから、“恋は盲目”とはよく言ったものです。
ハロー効果という心理学的現象があります。ある対象を評価するときに、それが持つ顕著な特徴に引きずられ、他の特徴の評価が見えづらくなる現象です。
たとえば、すこしぽっちゃり体形だったとしても、ファッションセンスが抜群で洋服を着こなしていたら「カワイイ」「オシャレ」が顕著な特徴となり、本来であればネガティブ要素になりかねないぽっちゃりがかすんでしまうような現象です。
その逆もしかりで、どんなにイケメンでも清潔感がなく、髪もボサボサだったら、イケメンという良いイメージよりも、不潔という良くないイメージが先行し、その人の全体的な評価まで変えてしまいます。
前者を「ポジティブハロー効果」と呼び、後者を「ネガティブハロー効果」と呼ぶのですが、良い部分を光らせられれば、“あばたもえくぼ”に映るでしょうし、悪い部分が目立つようであれば“坊主憎けりゃ袈裟まで憎い”となってしまいます。人に与える印象というのは、自分次第で変えられるということでしょう。
裏を返せば、私たちが誰かを評価したり、判断したりするとき、そうしたバイアスがかかっている可能性があるとも言えます。印象だけならまだしも、偏見や誤った評価につながるようなら大きな問題となります。
そのため、大事な判断を下すときは、複数人で決定したり、評価軸をいくつか用意したりすることも大切です。実際、そうした間違いが起こらないように、面接などの状況では複数の視点や情報を考慮し、客観的な視点を持つようにしているのです。
心理学者であるシガールとランディは、次のような実験(1973年)を行っています。被験者グループに、カップルのように振る舞う男女2人を見てもらい、その際、ナチュラルで容姿端麗な女性と一緒にいるパターンと、奇抜なウィッグを着けるなど変わった風貌の女性と一緒にいるパターンを比較しました。
そして、男性にどのような印象を持ったのか、被験者に回答してもらいました。
結果は、みなさんの想像通りです。容姿端麗な女性といるときの方が男性のイメージは総じて高く、シガールたちは「美しい女性と付き合っているのだから男性の方も女性に釣り合う魅力を持っているに違いない──と判断してしまったためである」と説明しています。
ハローとは「後光が差す」という言葉の後光を意味します。後光が差すことで、私たちは勝手なイメージや印象を持ち、時に誤った判断をしてしまうのです。
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