2019年このコラムで、アメリカではエコ不安神経症を病む若者が出てきていると書きました。
あれから4年、温暖化は大気や海水の異常高温や山火事という形で、今や温暖化ではなく「沸騰化」と言われるまでになりました。
そしてエコ不安を訴える人も劇的に増えました。特に若いZ世代の半数近くが、「エコ不安が毎日の生活に影響している」と答え、4割が「将来子供を持つことをためらう」とまで言っています。
こうした不安が極端なレベルになると、睡眠や仕事をすることさえ難しくなります。また不安や悲しみだけでなく、充分な環境対策をして来なかった大人に、裏切られたという気失望感、また政府への怒りという形でも現れ、若者の活発な社会活動につながっています。
一方で、私が知る限りなので間違っているかもしれませんが、日本の若者はそこまで強い不安を感じていないようにも見えます。
もしかすると報道や情報の量が理由かもしれません。アメリカでは異常高温のニュースには必ず温暖化が繰り返し強調されているのに比べ、日本の報道はそこまででないような気がします。
あるいはタイム誌に寄稿した気候心理学者のスーザン・クレイトン教授が言うことが当たっているのかもしれません。
「人はネガティブな感情を抱くことを嫌うため、問題があることを否定したり、それについて考えることを避けたり、すべてがうまくいくという非現実的な楽観主義を維持しようとする」
いわゆる臭いものに蓋をしている状態です。
しかし同教授は、「これらの感情に対処するのは難しいが、それを受け入れるべき」とし、「もし逆に自分がそれを否定したまま、友人や家族、さらには政治家や業界のリーダーたちに対し、こうした不安を訴えなければ、結果として何も問題はないということになってしまう」と警告。逆に「こうしたネガティブな感情はポジティブな感情、希望とも共存できる。悲しみや不安がなければ、私たちは変わろうという気にはならないし、希望がなければ変化が可能だとは思わないだろう」とまとめています。
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