今年の夏は驚くほどの酷暑です。私も外に出るたびに、あまりの日差しの強さにクラクラしそうになります。
一方で、夏の日差しを全身に浴びると、なんとも言えない心地よさを感じます。せっかく外に出たなら、ただ暑さに苦しむのはもったいない。そこで、皆さんにお勧めしたいのが、よく晴れた日に青空を見上げると 「癒やし」効果を得ることができるという科学的エビデンスです。
大阪市立大学の水野らの研究(2012年)によれば、青空などの「癒やし」を感じる風景や画像を見るだけで、作業中の疲労が和らぎ、集中力や効率性の低下を抑えられることがわかっています。せっかく夏の晴れ間が広がっているなら、外出ついでに空を見上げた方が◎というわけです。
また、長岡技術科学大学の野村は、赤・青・透明の色がついたメガネをかけた状態で、計算問題を23人の被験者に解いてもらうという実験(14年)を行いました。その結果、青い色眼鏡をかけたときは、ほかの色に比べ集中力が向上し、ストレスホルモンである「コルチゾール」も減少。つまり、青色にはストレス抑制効果があるということが分かったのです。
青色は、「神経を落ち着かせる色」として有名ですが、農研機構と筑波大学の共同研究でも、虫や蛇や事故現場などの不快な画像を見せてストレスを与えたあとに、何を見せればストレス軽減効果につながるかという実験を行っています。
花、青空、イスなどの画像を被験者に見せ、その後、血圧やコルチゾール値からどれだけストレスが軽減しているかを調べたところ、青空や花にはストレス軽減効果があることがわかったといいます。
晴れた日に青空を見ると効果てきめん。見上げる際は、次の点を心がけるようにしてください。過去、このコラムでも触れた「背筋をピンと伸ばす」効果を覚えているでしょうか?
背筋を曲げた場合には、無力感やストレスを感じがちになる傾向が観察され、うつ病患者の大半が背筋が丸まっているという結果もあるほどです。下を向いて歩いたり、スマホを見ながら歩いたりすると、それだけでやる気やストレスに悪い影響を与えかねないので、定期的に背筋を伸ばすといいでしょう。
マドリード自治大学のブリニョールらの研究(09年)では、大学生の被験者71人を、①胸を張った姿勢、②背中を縮こませて姿勢を取るグループに分け、自分の長所や短所をリストアップさせたところ、①の胸を張った姿勢を取ったグループの被験者の方が、自信を強く持つとの結果でした。背筋をピンとして胸を張ることは、想像している以上に大切なのです。
青空を見るのは、お金もかかりませんし、誰でもすぐに実践できます。疲れたときは、背筋をピンと伸ばしながら空を見上げる。秋にはきれいな秋晴れが広がります。たったそれだけで気持ちも晴れ、自信も湧いてくるはずです。
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