科学が証明!ストレス解消法

他者との心の距離をコントロールする「コード・スイッチング」

写真はイメージ
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 8月15日に放送された「カズレーザーと学ぶ。」に出演した際、相手と心を近づかせる会話術として、私は「コード・スイッチング」という話し方を提案させていただきました。

 コードというのは、「言葉」を指します。すなわち、言葉をスイッチングすることがコード・スイッチングなわけですが、意図的に変えることで相手との距離感も変えられるんですね。

 たとえば、とても仲の良かったカップルがケンカをしてしまい“別れる”となったとき、突然、「今までありがとうございました」と敬語になったりします。急に敬語を使われたことで、言われた方はいやおうなしに心の距離感を感じる──。このように、言葉の質やニュアンスをスイッチングすることで、相手に対する印象を意図的に変えられるわけです。

 では、人に好かれやすくなる言葉とは何か? それが、タメ口を効果的に差し込んでいくことです。一般的には、目上の人や距離感がある人に対してタメ口を使うというのは、評価が下がったり嫌われたりすると思います。しかし、あるポイントを押さえれば、好意的に受け止められるようになるのです。

 実際に私は、上司と部下が会話をするVTRを作成し、それを第三者に見てもらい、どのような評価をするのかという実験を行いました。部下が上司と話をする際に、①すべてタメ口で話すパターン②すべて敬語で話すパターン③一部タメ口で話すパターンの3つのVTRを作り、第三者に10段階で評価してもらいました。

 その結果、もっとも親しみを持ったと答えたケースが、③の一部をタメ口で話すVTRでした。第三者の評価は、③が59.5%、②が40.5%、①にいたっては0%(!!)。実に約6割が③のケースを評価したのです。

 となると、「一部をタメ口」にするとは、どこまでをタメ口にしたのか──。

「自分の感想部分は敬語を使わずに、自分の言葉で表現して伝えているので本音に聞こえる」とは、VTRを見た第三者の声です。

 ③のケースでは、部下が「かっこいい!」「センスがいい!」「うれしい!」という具合に、自分の感情や(間投詞的な)感想などを口にするときだけタメ口を使うように作成しました。本来であれば、「~ですね」や「~と思います」といった言葉遣いになりそうなところを、あえてタメ口のニュアンスに変えるコード・スイッチングを行ったのです。

 正直な言葉や素の言葉を、私は“すっぴん言葉”と呼んでいるのですが、着飾らない言葉というのは、相手にとっても、そして周りにいる人に対しても好意的な反応を示すケースが多い。その分かりやすい言葉が、タメ口なのです。

 目上の人や好意を寄せている人と距離感を縮めたいときは、自分の感情や感想はタメ口で伝えてみる。逆に、「あなたに興味がない」と伝えたいときは、敬語を含めたお堅い言葉で伝える。コードをスイッチングすることで、他者との距離感をコントロールできるのです。


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堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

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