東洋医学では身体の「冷え」を病気になる前の状態、いわゆる未病と捉え重視しています。
健康な状態では「気」が充実し、全身を巡って温めるため、身体が冷えることは少なくなります。逆に「気」が不足すると、冷えが生じ病気になると考えられています。
ちなみにここでいう「気」とは、身体の機能のことだと理解していただくと分かりやすいでしょう。
この気はストレス、不安、過労、外傷、環境の変化などさまざまな要因によって不足し、全身が機能低下に陥ることで、結果として冷えが生じます。
つまり、東洋医学において冷えとは単に手足の温度感覚的なことだけを指すのではなく、全身の機能低下と深く関わっていると考えているのです。
事実、手足の冷えを訴える方の中には、「よく眠れない」「疲労感が取れない」といった体調不良を訴える方が珍しくありません。しかし、検査をしても具体的な病気は見つからない。これを「不定愁訴」といいますが、この場合は単純に手足の冷えだけを改善しても良くならず、全身を整える必要があります。
「女性鍼灸師フォーラム」という団体が行った冷え症に関する興味深い実験をご紹介したいと思います。
それは一般的な「冷え症」を自覚する女性の被験者グループに対し、お灸をする群とレッグウオーマーをつける群に分けて4週間後比較したところ、お灸群の方に優れた効果が認められたというものです。
着目すべきは、この実験が足の冷えだけでなく、冷えに伴ったその他の不調の変化も指標にしている点。それによると、肩こり、足のむくみ、ぐっすり眠れないという他の症状も改善されたという結果となっています。お灸で気の巡りが良くなって、冷えを含む不定愁訴が改善されたことを示します。
東洋医学は全身を整えることを得意としています。冷えで悩んでいる方は、漢方薬局や鍼灸院などで相談してみてはいかがでしょうか。
東洋医学を正しく知って不調改善