最近、なんだか目がかすむ……。年齢を重ねると目の機能が衰え、視野がぼやけたり、もやがかかった感じがするといった不調が現れやすくなります。
シニアに多いケースが、加齢による老眼や、乱視で引き起こされる「屈折異常」。網膜にピントが合わなくなり、見ているものがぼやけたり、はっきりと見えないことがかすみとして感じられるのです。
また、眼精疲労も目のかすみを引き起こす原因になります。人は水晶体の周囲にある毛様体筋を伸び縮みさせることによって、その厚みを調節してピントを合わせています。
読書、パソコンやスマホの長時間使用は、毛様体筋が緊張し続けて正常に働かなくなってしまう原因になります。その結果、調節機能が衰えて目のかすみにつながるのです。
もちろん、白内障など目の病気、高血圧や糖尿病の合併症が原因となる場合もあるので、病院で診察を受けることが重要ですが、食養生で「クリアな視界」を維持することも大切です。
中医学において、目は「肝」と呼ばれる臓器と関係が深く、肝の機能が低下すると、目のかすみにつながりやすいといわれています。また肝は筋肉や爪とも関わりがあるため、働きが弱ると、足がつる、こむらがえり、爪が割れる、縦じわが増えるといったトラブルも起きやすくなります。
また、肝は自律神経もつかさどる臓器なので、ストレスは肝に負担をかけて目のかすみを悪化させてしまいがちです。
肝の働きが弱った状態が続くと、目のかすみばかりかだんだん視力が減退するリスクが高まります。速やかに、肝のパワーをアップして、目にしっかりと栄養を送り届ける食材を取り入れることが大切です。
おすすめはアサリ。肝に働きかけ、目に栄養を与えて眼精疲労や目のかすみの改善に高い効果があります。また、精神安定や安眠にも役立ちます。目と心を癒やす働きがあるのです。
そのほか水分代謝をアップさせる作用があるため、むくみの改善によく、痰がからむ咳にも効果的。二日酔いにも威力を発揮するので忘年会・新年会対策にも役立ちます。
アサリのかすみ目改善効果を高めるためには、同じく肝の働きをアップするクコの実、ニンジン、ホウレンソウ、小松菜などを組み合わせるのがおすすめ。また、老化をつかさどる臓器「腎」のパワーを高める食材をプラスするとより効果的なので、ブロッコリー、ナガイモ、うずらの卵、黒ごまなども併せて取り入れるとよいでしょう。 (水曜掲載)
■アサリ高齢薬膳レシピ
アサリとブロッコリーのクコ蒸し煮
肝の働きを強めるアサリ、腎の機能向上によいブロッコリー、肝腎ともにサポートする作用があるクコの実を組み合わせたレシピ。アサリのうまみにクコの実のほんのりした甘みが加わって、ブロッコリーがおいしくいただけます。
【材料】2人分
●アサリ(砂抜きする) 200グラム
●ブロッコリー 2分の1個
●ニンニクのみじん切り 少々
●クコの実 大さじ2
●酒 大さじ5
●オリーブ油、塩、こしょう 適量
【作り方】
フライパンにオリーブ油を熱し、ニンニクを炒めて香りが出たらアサリと酒を加える。煮立ったら小房に切ったブロッコリーとクコの実を入れ、ふたをして3分程度煮る。塩、こしょうで味を調える。
新著「秒速 『ゆる薬膳。』」(青春出版社)が好評発売中。
健康長寿に役立つ高齢薬膳