科学が証明!ストレス解消法

「睡眠不足」は人の魅力を減少させる…寝不足の顔はバレる

きっちり睡眠をとった人ほど魅力的に映る
きっちり睡眠をとった人ほど魅力的に映る

 睡眠時間を削って、仕事や課題を進める方は少なくないと思います。しかし、極端に睡眠時間を削るようなスケジュール進行は控えた方が賢明です。

 スウェーデンのカロリンスカ研究所の実験(2017年)によると、「きっちり睡眠をとった人ほど魅力的に映る」ことが明らかになっています。

 実験は、男女の大学生を対象に行われました。まず、2晩連続で十分な睡眠を取るように指示を出し、次に、その1週間後に2晩連続で4時間しか睡眠をとらないように指示をしました。就寝中は、寝ているか否かを測定できる器具を装着しているので、ズルはできないようにしたといいます。

 その上で、研究者たちは、十分な睡眠と4時間しか寝ていない睡眠不足の回それぞれの後に、参加者のすっぴんを撮影。それらの写真を、スウェーデンの首都・ストックホルムに住む男女122人に見せ、被験者の魅力、健康状態、眠気、信頼性などの評価をしてもらいました。また、「写真の中の人物とどれくらい交流したいですか?」とも質問しました。人によっては、これほどまでに恐ろしい実験はないかもしれません。

 結果、評価した人たちは往々にして、4時間しか寝ていない睡眠不足の写真に対して、「魅力が低い」と回答。「交流を持ちたい」と答える人も少なかったそうです。寝不足の顔はバレてしまうんですね。

 もっと言えば、睡眠不足が数夜も続けば、他者に与える印象は「醜くなる」ということです。当たり前ですが、きちんと睡眠をとることは健康はもちろんのこと、周りに与える影響も良くなるというわけです。

「寝ないで我慢すれば大丈夫」と軽く考えがちですが、睡眠不足のリスクは多岐に及びます。睡眠不足によって満腹ホルモンが減少し、食欲が増進。肥満のリスクが増加するため、紐づくように糖尿病、高血圧、脳卒中などの生活習慣病の発症リスクも増加するといわれています。さらには、免疫低下、学習や仕事のパフォーマンスの低下なども挙げられますから、百害あって一利なしとはこのことでしょう。

 ちなみに、「寝だめ」をすればいいと考える人もいるかもしれませんが、日常的な睡眠時間の確保が重要であり、週末の寝だめで睡眠不足を解消することは難しいとされています。

 日本は、どういうわけか「私は3時間しか寝てない」という具合に、寝てないアピールや、忙しいことを誇らしげに吹聴する風潮があります。しかし、アメリカ社会などでは、きちんと睡眠を確保できないことは自己管理ができていない証左ととらえられ、“デキない人”扱いされてしまいます。

 自分が朝型、夜型、中間型、いずれのタイプかを把握しておくことも大事でしょう。いくら睡眠をとっても、朝型人間が夜型になるような睡眠の確保は、あまりよくはありません。「ソーシャル・ジェットラグ(時差ぼけ)」といって、無理に調節すると体調を崩してしまうケースもあります。自分の睡眠ルールを守った上で、しっかり睡眠を確保する。人に与える印象も変わってきますよ。

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堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

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