東洋医学において、体の不調は気・血・水などなんらかのアンバランスの現れ。不調の改善だけでなく、不調を引き起こしているアンバランスを整え、不調が病となるのを防ぐことが重要だと考えています。
およそ2000年前にまとめられた東洋医学の原典「黄帝内経」には、「聖人は已病を治めず、未病を治む」という言葉があります。
已病とはすでに病になった状態で、未病とはまだ病気になっていない状態です。聖人(とても優れた人)は病気になってから治そうとするのではなく、病気になる前に心身を整えるという戒めです。
「未病」という言葉が日本に広く浸透したきっかけとして、1997年度版の「厚生白書」や2017年の国の「健康・医療戦略」に取り上げられたことがあります。生活習慣病や高齢化社会への対策として、未病の状態が重視されてきたのです。
東洋医学を正しく知って不調改善
東洋医学からみた健康の秘訣は…不調が病になることを防ぐ
恬淡虚無が健康の秘訣
前述の「黄帝内経」には、さらに次のような文章があります。
「冷えや風など外から体に入ってくる病の原因は、季節性を考慮して避けるようにする。恬淡虚無であれば、体の働きはしっかりするし、精神は安定する。このようであれば病に襲われることはない」
心静かで雑念がなければ、病気にならない――。つまり、恬淡虚無が健康の秘訣。恬淡虚無であれば、欲は少なく、不要にビクビクせず、肉体を働かせても過度に疲労しない。食べたものをおいしいと思い、自身が置かれた環境や風習に満足し、他人を羨むことはありません。
みなさんも「恬淡虚無」を参考にしつつ、日常生活改善やセルフケアを実践し未病を治めていただければと思います。そのためにも普段から漢方薬や鍼灸を活用することも大いにおすすめしたいところです。(おわり)