米国で発表されたトランスジェンダー調査が、差別や偏見の対象になりやすいトランスの人々の内面に踏み込んだ内容として、話題を呼んでいます。
調査を行ったナショナルセンタ・フォー・トランスジェンダー・イクイティ(NCTE)は、米国最大のトランスジェンダーの人権保護団体です。
質問に回答した9万2000人のうち、8万4000人が18歳以上の成人、8000人が16歳と17歳。成人解答者の6割はトランスジェンダー(生まれた時に医師による割り当てられた性と、自認する性が逆の人)、4割がノンバイナリー(どちらの性にも当てはまらないと自覚する人)でした。
まず目立ったのは、性的少数者であるために受けた差別や虐待です。
過去1年間に医療機関を受診した成人のうち、5割近くがトランスジェンダーであることを理由に、医療を拒否されたり、乱暴な扱いを受けた経験があります。
またトランスであることを公表した8割が、学校の嫌がらせ、身体的攻撃、ネット上のいじめ、性自認に合ったトイレや更衣室の使用を拒否されるなどの虐待を経験しました。
それでも性転換手術を受けたり、ホルモン治療を受けている回答者のうち84%は、人生に 「かなり満足」していると答えています。
もう1つ気になるのはこの数字です。アメリカの半分近くの州ではここ数年、「トランスジェンダーへの医療を制限したり、LGBTQに関する本を学校や図書館で禁書にするなどの法律が施行されています。そのため回答者の5割近くが、「差別を恐れて別の州に引っ越すことを考えている。」と解答しました。実際に引っ越した人も5%いました。
ただしこの調査はあくまで自主的な回答によるもので、全てのトランスジェンダーの声を代表するものではない、とNCTEはコメントしています。
アメリカではトランスジェンダーとノンバイナリーは合わせて人口の1.6%。それが30歳以下になると5.1%に増加します。
日本は電通の調査で、トランスジェンダーが1.15%、ノンバイナリーが1.38%となっています(https://www.group.dentsu.com/jp/news/release/001046.html)。
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