科学が証明!ストレス解消法

勉強や頭脳労働の前には「運動」を…成績がアップする

脳を働かせるには脳の血流をよくすることが重要
脳を働かせるには脳の血流をよくすることが重要

 効率よく勉強するためには、適度な運動が欠かせません。

 実は、優秀な人ほど四六時中、机にかじりついてがむしゃらにテキストを読み漁り、知識を頭に叩き込んでいるわけではないんですね。効率よく脳を働かせるには、脳の血流をよくすることが重要です。脳に酸素をしっかりと送っているか──。このポイントを軽視すると、学びのスピードに差が生じてしまうのです。
実際、勉強を始める前や休憩時間などに、軽い運動や散歩をしている人は意外に多く、私の周りの優秀な研究者や大学教授たちも散歩好きな方が多いほどです。

 また、スティーブ・ジョブズの散歩好きは有名ですが、フェイスブック(現メタ)の創業者であるマーク・ザッカーバーグも散歩の習慣があるそうです。集中力や記憶力を高め、インスピレーションを豊かにし、インプットもアウトプットも最大化する。散歩には驚きの効果があるのです。

 では、なぜ散歩にそんな効果があるのでしょうか? それは、散歩をするだけで、脳の血流は十分良くなり、脳が活性化するから。運動と聞くと、多くの人がジョギングをはじめとした、しっかりと体を動かすことをイメージすると思います。しかし、散歩でも十分な効果があるとは、目からウロコではないでしょうか。

 イリノイ大学のサラスらは、次の実験(2011年)を行い、散歩の力を実証しています。

 被験者を2つのグループに分け、名詞を記憶するテストを実施しました。その際、「覚える前に10分間歩いたグループA」と「覚える前に歩かずに、10分間座って風景写真を見るグループB」に分けたといいます。名詞を覚えた後は、それぞれのグループに同様の行動をしてもらい、その後、テストを実施したそうです。

 その結果、10分間歩いたグループAは、10分間座っていたグループBよりも、正答率が25%良いという結果が判明しました。ちなみに、「覚える前に10分間歩く↓名詞を覚える↓歩くのではなく座って風景写真を見る」という行動に変えて実施したところ、先の結果同様に25%ほど成績が良くなったそうです。つまり、「勉強する前に歩く」ことに意味があると示されたのです。勉強する前に、適度な運動をするといっても、人によっては疲れてしまうと思います。ジョギングや縄跳びなども効果的ですが、苦手な人が無理やりすると逆効果ですし、体が疲れてしまっては元も子もありません。

 しかし、散歩なら決して難しい話ではないはずです。勉強を始める前に往復10分ほどの距離にあるコンビニまで買い物をして帰ってくるだけで、脳の暖気運転は完了です。

 これは勉強というより、ひらめきや発明の類いの話かもしれませんが、学者のみならず私の知人の作家さんや漫画家さんなどは、散歩や運動を習慣にされている方が本当に多いです。頭を使う作業が待ち受けているなら、その前に気分転換がてら散歩をしてみること。脳の血流が良くなるだけではなく、体にも良い習慣ですから、一石二鳥です。

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堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

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