役に立つオモシロ医学論文

たった数分の短い運動でも寿命が延びる? 豪州の研究チームが学術誌で報告

家事や育児など日常生活に不可欠な動作でも…(C)日刊ゲンダイ

 運動不足は、食習慣と並んで生活習慣病のリスクを高めると考えられています。実際、休日などの余暇時間に適度な運動をすることは、心臓病や脳卒中の発生リスクの低下と関連していることが報告されています。

 とはいえ、多忙な人にとって貴重な余暇時間のすべてを運動に充てることは難しいかもしれません。そのため、日常生活の一環として行われる「短時間の運動」と健康状態の関連性が注目を浴びていました。短時間の運動とは、家事や育児など日常生活にとって必要不可欠な10分未満の動作のことです。

 そんな短時間の運動と健康状態の関連を検討した研究論文が「ランセット・パブリック・ヘルス」という学術誌の2023年10月号に掲載されました。

 英国の大規模データベースを用いたこの研究では、余暇時間に運動をしていない2万5241人(平均61.8歳)が対象となりました。運動量の計測は手首に装着可能な加速度センサーによって行われ、持続的な運動時間が、1分未満、1分以上3分未満、3分以上5分未満、5分以上10分未満のグループに分類されました。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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