やけどの正しい治し方(3)応急処置は清潔な流水で20分冷やす

流水で20分程度冷やすのが良い
流水で20分程度冷やすのが良い

 やけどをしてしまった場合、まずは誰もが「冷やす」だろう。冷やし方は、水、氷、保冷剤などが考えられるが、どんな方法がベストなのか。やけどの専門家でもある「身原皮ふ科・形成外科クリニック」(広島市)の身原京美院長は言う。

「『流水』ですね。日本ではため水を使うことはないと思いますが、必ず水道から出る清潔な水で冷やしてください。論文では、流水で20分程度冷やすのが良いと報告されています。20分も冷やすのは痛みが出るなどしてなかなか難しいですが、後半は低体温症に注意しながら、とにかくしっかりと冷やすこと。それがファーストエイド、応急処置としては一番です」

 流水ではなく氷で冷やすと、血管を収縮させて予後を悪化させ、熱傷深度を深めるケースがあるとの論文がいくつも報告されている。また、医学における肯定的なエビデンスもないという。

 医療機関に向かうまでの間に冷やし続けたい時は保冷剤を当てるのは“アリ”。ただし、とりわけ幼い子供の場合は低体温症になってしまう可能性があるので、当てたり外したり調整しながら冷やす必要がある。

 冷やすこととは逆に、絶対にやってはいけない処置もある。

「年配の方に多いのですが、『紫雲膏』という軟膏を塗ってから来院されるのは避けてください。やけどは表面の観察が非常に重要なのですが、紫雲膏が塗ってあると表面がまったく見えませんし、洗っても取り除けないのです。他にも症状を観察できなくするものは付けないようにしましょう。また、ガーゼなどで患部を押さえるのも、剥がすのが大変なケースもありますから避けたほうがいいでしょう。できるだけ何もせず、早く医師に相談することが大切です」

 他にも、やけどの治療で最も重要な深度判定には、たとえば「アイロンを手で触ってしまった」「ストーブの上に座ってしまった」といった、受傷時の状況や接触時間などの情報が必要になる。

 医療機関を受診する時には、やけどをしてしまった経緯を説明できるようにしておきたい。(つづく)

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