仕事がスタートする月曜日、なんだかヤル気が出なくて体も重い……。毎週やってくるそんな不調を改善するためには、曜日ごとに「食事」を工夫するのがおすすめだ。
人間の体には、一定時間ごとに生命リズムを刻む体内時計が備わっている。①日周リズム(サーカディアンリズム)②週周リズム③月周リズム④年周リズム(季節性リズム)⑤90分リズム(ウルトラディアンリズム)の5つで、いずれも体内で働いて生活にリズムをつくっている。
県立広島大名誉教授で、東北女子大教授の加藤秀夫氏(時間栄養学)は言う。
「人間の社会は1週間のリズムが重要視されていて、職場や学校も週間スケジュールで運営されているケースがほとんどです。体内の週周リズムの研究は多くありません。しかし、活動量は曜日によって異なっていて週周リズムが認められます。ということは、曜日ごとに食事も工夫する必要があるのです」
健常者の1日の摂取エネルギー量と消費エネルギー量を曜日ごとに計測した調査によると、土日が休みで平日に出勤・通学している場合、月曜日は食欲(摂取エネルギー量)も活動量(消費エネルギー量)も最も低下していた。逆に食欲と活動量がピークになるのは水曜日で、金曜日は食欲と活動量はほぼ月曜日と同じになる。翌日から休みだという精神的な高揚感があるが、肉体的な疲労がたまっているため活動量は減少傾向になっている。
こうした週周リズムに合わせ、月、水、金の食事を工夫すれば、不調の改善に役立つ。前出の加藤氏にそれぞれメニューを考案してもらった。
■月曜日
「月曜日の活動量は少なく、食べ過ぎると摂取エネルギーを処理しきれません。ポイントになる栄養素はビタミンB1とB6。B1は糖質をエネルギーに変換するために不可欠で、脳や神経の働きを正常にする働きがあり、疲労回復効果もある。B6はタンパク質合成だけでなく、体調を整える神経伝達物質の合成にも関わっている。そのため精神状態を安定させる働きがあります」
朝食 旬の生野菜(ビタミン類)、ゆで卵(タンパク質)、ハム・ソーセージ(タンパク質・ミネラル)、牛乳・ヨーグルト(カルシウム)
「朝食を食べると体が活動するモードになるので必ずとる。量はほどほどに。カルシウムは筋肉活動に大切」
昼食 脂分の少ない豚肉のしょうが焼き定食(ビタミンB1、B6)
「トンカツなどの揚げ物はNG。月曜日は体が脂分を十分に消化しきれない」
夕食 サバ、アジ、イワシ、サンマなどの青魚やマグロやカツオ(ビタミンB類)
「昼に肉を食べた場合は魚、昼に魚を食べた場合は肉を選ぶ。良質な睡眠をとるためには就寝の4時間前までに済ませることが大切になる」
■水曜日
「ポイントはビタミンB2です。活動量がアップする水曜日は、酸素摂取量の増加によって体をさびつかせる活性酸素も体内で多く発生しています。ビタミンB2は、活性酸素を消去するグルタチオン還元酵素の働きをサポートします」
朝食 旬の生野菜、米・パン(糖質)など
「活動量が増える水曜日は朝からしっかり食べてもエネルギーを使い切ることができる。脳のエネルギー源になる糖質を主食にして、おかずは気にせずなんでもOK」
昼食 バイキング形式の店舗で、野菜、肉・魚、米・パン・麺類、乳製品など
「活動量がアップして空腹状態になっているため、何品も選べてバランスよく補給できるバイキングがおすすめ。間食も問題ないが、ケーキやスナック菓子はNG。果物や乳製品がいい」
夕食 鍋料理
「活動量は水曜日の夜から下降していく。昼にしっかり食べたので、夜はほどほどに。ビタミンB2を豊富に含んだ肉、魚、野菜を適度にバランスよくとれる鍋料理が最適」
■金曜日
「ポイントはナイアシン。水溶性ビタミンB群のひとつで、糖質、脂質、タンパク質の代謝に役立ちます。アルコールの分解にも必要で、疲労回復にも有効。お酒を飲む機会も多く、1週間分の疲れも蓄積している金曜日にはうってつけです」
朝食 旬の生野菜、ホットサンドなど
「水曜日に比べ、量はほどほどにしておく」
昼食 和食
「金曜日は疲労がたまっているため脂分を控える。ナイアシンが多いカツオ、タラ、サバなどを選ぶといい。カツオ節やタラコなどの加工食品にも含まれるが、塩分のとり過ぎには注意が必要」
夕食 フレンチ、イタリアン、中華など
「精神的な疲労感が回復傾向にある金曜日は食べることを楽しむ。ナイアシンは豚肉、牛肉、鶏肉や、それぞれのレバーにも豊富に含まれる。ただ、煮ると70%が煮汁に出てしまうので、スープ仕立てのメニューがいい」
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週周リズムに合わせた食事を意識すべし。