家庭で自分のDNAを採取すると、先祖の人種がわかるというホーム・テスト・キットが大ブレークしています。
特に昨年は人気急上昇で、1年間にテストを受けた人の数がそれ以前の年の合計の2倍に。
これまで実に1200万人、アメリカの大人の25人に1人がDNAによる自分の人種構成を知っていることになります。
やり方はとても簡単で、綿棒で口の中をこすってそれを送るだけ。結果は2週間ほどで送られてきます。気になるお値段ですが、最大手の「Ancestry.com」(アンセストリー・ドットコム)は1万1000円、病気リスクもチェックしてくれる「23&ME」(トウェンティスリー&ミー)が2万2000円とお手頃です。
会員になれば豊富なデータベースにアクセスし、先祖や同族を探せるサービスもあります。昨年のクリスマスの人気ギフトとしても注目を集めました。
しかし、なぜアメリカ人は自分のルーツ探しにこれほど夢中になるのでしょうか? 日本人として生まれた人なら、自分の先祖が日本人以外では……と疑う人はそういないでしょう。しかし、多人種多民族の国アメリカではそうはいきません。
先祖が最初はヨーロッパから渡ってきていても、数百年の間にさまざまな血が混じり合っていることは珍しくない。ましてやアフリカン・アメリカンのほとんどは奴隷として連れてこられたため、ルーツがまったくわからないというのが現実です。
さらに近年、人類のルーツがアフリカという説が徐々に定着している中で、まったく予期しなかった血が混じっている事実を知り、感動を覚えた人も少なくないのです。SNSで結果を共有したところ、幼い頃に生き別れた兄弟に巡り合ったという話もよく聞かれます。
移民の流入でますます多様化するアメリカでは、DNAテストの結果はその人の「個性」のひとつ。さらに、肌の色の違いを超えて互いの共通点を見いだすきっかけになっているのかもしれません。
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