性感染症最前線

エイズ<2>HIV感染を確定するには最低2回の検査が必要

検査キットを取り寄せることも可能
検査キットを取り寄せることも可能(C)日刊ゲンダイ

 昔は“不治の病”のイメージがあったエイズだが、いまは発症前のHIV感染症の時点で治療を始めれば95%以上は発症を抑えられ、他人への感染も防ぐことができる。

 しかし、HIVは感染してもエイズ発症まで自覚症状がなく進行するので、自ら検査を受けなければ感染の有無を確認することはできない。

 HIV検査は血液検査(約5㏄の採血)になり、保健所では匿名、無料で受けられる。医療機関でも匿名で受けられるが、検査費用は自費になる。どんな手順で感染の有無を調べるのか。性感染症専門施設「プライベートケアクリニック東京」(新宿区)の尾上泰彦院長が言う。

「HIV検査で最初に行われるのはスクリーニング検査で、現在は第4世代の『抗原抗体検査』が主流です。これで『陰性』であれば、HIVに感染していないことになります。『陽性』または『判定保留』であれば『確認検査』を実施します。それはスクリーニング検査では0.3%の割合で『偽陽性』が発生するからです。HIV感染を確定するには、スクリーニング検査が陽性、確認検査が陽性の2つを満たすことが必要になります」

 スクリーニング検査は1~2種類のHIV構成タンパクに対する抗体を検出して調べるが、確認検査ではHIVのすべての構成タンパクの抗体を調べるという。

 では、スクリーニング検査が陽性で確認検査が陰性であれば、そこでHIV感染はないといえるのか。そうではない。スクリーニング検査が陽性で確認検査が陰性または判定保留の場合には、今度はHIVのRNA遺伝子を抽出し、ウイルス遺伝子の存在を確認する「NAT(核酸増幅法)検査」を行う。この検査で陰性であれば、晴れて感染なしが確定する。

 しかし、これらの検査はHIVの感染からある程度の期間が経過していないと正確な結果が出ない。検査を受けるタイミングがあるのだ。

「感染から体内にHIVに対する抗体が産生されるまでの期間が必要です。早く検査を受けてしまうと、抗体が作られていないので陰性の結果が出てしまう。いまの検査の多くは感染の機会から2カ月後から受けられます。NAT検査はウイルス自体を調べるので2週間後から受けられます」

 結果が出るまでの日数も検査の種類で異なる。同院の場合はウェブ上で確認でき、抗原抗体検査は2~3日後(即日検査は約30分)、確認検査は5~7日後、NAT検査も5~7日後に結果が分かるという。

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