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【トマトと卵との炒め煮】ビタミンDとカルシウムの最強コンビで骨粗しょう症予防

生キクラゲの「トマトと卵との炒め煮」、右は「じゃことシシトウとの炒めもの」
生キクラゲの「トマトと卵との炒め煮」、右は「じゃことシシトウとの炒めもの」/(C)日刊ゲンダイ
旬を食す①生キクラゲ

 生キクラゲの旬は、4~9月です。成分は乾燥と変わりませんが、他の野菜にはないプリプリの食感が楽しめます。

 生キクラゲは料理の脇役といったイメージが強いですけれど、非常に栄養分が豊富です。ゴボウの3倍の食物繊維、食品の中でも保有量がトップクラスのビタミンD、牛乳よりも多いカルシウム、牛レバーの9倍もの鉄分などを含んでいます。

 中でもビタミンDとカルシウムは最強コンビです。ビタミンDはカルシウムの吸収を促すだけに、骨や歯を丈夫にする相乗効果が期待できます。骨がスカスカになってもろくなる骨粗しょう症の予防につながるのです。

 鉄分は貧血防止に役立ちます。貧血というと立ちくらみと思いがちですけど、疲れやすい、息切れしやすいといった症状も含まれます。鉄分は汗や尿なども含め、知らず知らずのうちに体外に出てしまうため意識的に摂取した方がよいかもしれません。

 メインはキクラゲ同様にビタミンDが豊富な鶏卵と合わせました。生キクラゲは手でちぎった方が味が染みます。

 もうひと品はキクラゲと同じく、カルシウムが豊富なじゃことの炒めものです。冷蔵庫で3日間くらいは保存が利きますし、お酒のおつまみにもなります。

《材料》
◎生キクラゲ 4、5枚
 さっと洗い、石づきを除いたら手で一口大にちぎる(写真)
◎トマト  中2個
 皮をむき、芯を除き、横半分に。種を除いて一口大のザク切り
◎卵  3個
 カラザを除き、軽くとく
◎ニンニク  1かけ
 縦半分に切り、芽を除いて薄切りにスライス
◎ごま油 大さじ2
◎三温糖 大さじ2分の1
◎塩、白コショウ  少々

《作り方》 
(1)中華鍋にごま油とニンニクを入れ、中火より強めの火で香味の立つまで炒める。生キクラゲ、トマトを入れて炒め、三温糖を加える。
(2)材料に照りが出てきたら、卵を流し入れ、玉じゃくしを大きく使って合わせる。卵が半熟の状態で火を切り、塩、白コショウで調味。余熱で仕上げる。

■じゃこ、シシトウとの炒め物

 じゃこ1カップ、シシトウ10本の斜め薄切り、生キクラゲ4、5枚の千切りを、ごま油で炒め、最後に少量の米酢と塩で調味する。

▽まつだ・みちこ 女子美術大学非常勤講師、日本雑穀協会理事。ホルトハウス房子に師事。総菜からもてなし料理まで、和洋中のジャンルを超えて、幅広く提案する。自身でもテーブルウエア「自在道具」シリーズをプロデュース。著書に「季節の仕事 」「調味料の効能と料理法」など。

生キクラゲは手でちぎった方が味が染みる
生キクラゲは手でちぎった方が味が染みる(C)日刊ゲンダイ
キノコの中でも豊富な食物繊維に整腸作用

 台湾に旅行した際、たまたま入った街場の料理屋で、卵にキクラゲが入った炒めものが出た。

 これが抜群においしかった。ビールのおつまみにぴったり。もちろんご飯にも合う。今回のメニューはさらにその上を行く組み合わせ。卵はタンパク質源としてパーフェクトな食材(生命が発生するために必要なアミノ酸がバランスよく含まれている)。トマトはうま味のもと(だからパスタやピザのソースとなる)。そしてキクラゲのあのコリコリとした食感。台湾では木耳と表記されていた。木に耳たぶのようになるのでこの漢字が当てられている。

 さて、キクラゲの正体はキノコ。あの独特の食感はヘミセルロースやペクチンと呼ばれる食物繊維による。キクラゲにはキノコの中でも特に多く含まれている。食物繊維はカロリーにはならず、整腸作用や便通を良くする効果がある。さらにビタミンやミネラルを豊富に含むので健康によい。私たちが食べるキクラゲはだいたいの場合、乾燥品を戻したものだが、生キクラゲはちょうど今が旬。新鮮な食物繊維がたっぷりと水分子を含んでいるのでコリコリ感が半端ではない。それはエロチックですらある。食と性はつながっているのだ。

▽ふくおか・しんいち 1956年東京生まれ。京大卒。米ハーバード大医学部博士研究員、京大助教授などを経て青学大教授・米ロックフェラー大客員教授。「動的平衡」「芸術と科学のあいだ」「フェルメール 光の王国 」をはじめ著書多数。80万部を超えるベストセラーとなった「生物と無生物のあいだ」は、朝日新聞が識者に実施したアンケート「平成の30冊」にも選ばれた。

※この料理を「お店で出したい」という方は(froufushi@nk-gendai.co.jp)までご連絡ください。

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