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ポテトサラダで新じゃがのビタミンCを逃さずおいしく摂取

新じゃがいもを使った「ポテトサラダ」と「ピーマン、長ねぎとの炒めもの」
新じゃがいもを使った「ポテトサラダ」と「ピーマン、長ねぎとの炒めもの」/(C)日刊ゲンダイ
旬を食す②新じゃがいも

 子供の頃、初夏にかけての週末になると、必ずといっていいくらい朝食の食卓に並んでいたのが新じゃがでした。

 栄養価とうま味が最大になる旬の食材を、最もおいしい形でいただくことは何より重要です。

 今回はポテトサラダによって新じゃがのもつうま味を味わい、ピーマンと長ねぎと炒めることによってシャキシャキの食感を楽しんでいただくことにしました。

 ポテトサラダの作り方について、料理本やテレビの料理番組では、じゃがいもをレンジでチンすると教えているケースもあります。けれども、おいしさは、ゆでたものにかないません。味の濃さがまるで違います。

 旬のものをおいしく食べられるうえに、じゃがいもに豊富に含まれるビタミンCは非常に熱に強く、煮たり焼いたりしても壊れにくいため、栄養分を逃すことなく摂取できるのです。

 ビタミンCは病気に対する抵抗力を高めるばかりか、抗酸化や老化防止の作用があります。

 炭水化物抜きダイエットといいますし、じゃがいもを食べると太るという先入観をもった方もいらっしゃるかもしれませんけれど、実際のカロリーはご飯の半分ほど。

 それでいて満腹感を味わえるのですから、むしろダイエットに向いた食材といえます。

【ポテトサラダ】


《材料》 
◎新メークイン 500グラム(表面の皮が薄く、はがしやすそうな新しいものを選ぶ)
◎塩 大さじ1、小さじ2分の1
◎米酢 大さじ2
◎マヨネーズ(酸味の強いもの) 4分の3カップ
◎三温糖 大さじ1と2分の1
◎粉からし 小さじ1
◎玉ねぎ 2分の1個を繊維に沿って薄切り
◎ロースハム 5枚を長さ4センチの千切り
◎きゅうり 1本 縦半分で種を除き半月薄切り
◎白コショウ 少々

《作り方》 
(1)大きめの鍋に塩とじゃがいもを皮ごと入れ、水をひたひたに張って煮る。じゃがいもに竹串がすっと通るようになったら取り出し、熱いうちに皮をむいてボウルへ(写真)。木べらなどで4つに崩し、米酢をかける。粗熱が飛んだら、マヨネーズと三温糖と粉からしをよく混ぜたものと玉ねぎ、ロースハムを加える。

(2)じゃがいもが冷めたら、きゅうりを加え、味をみながら塩と白コショウで調味する。冷蔵庫で30分ほど休ませて再度、味をみて、足りなければ調味料を足す。

【ピーマン、長ねぎとの炒めもの】

 新メークイン3~4個の皮をむき、7ミリ角の棒状に切ったら、たっぷりの水にさらしてでんぷんを抜く。ピーマン2個は長さ6センチに切り揃え、タネとワタを丁寧に取り除いて千切りに。ねぎは芯を除いて斜め薄切り。中華鍋にニンニクの千切りとごま油を多めに入れて熱し、香味が立ったら水気を切ったじゃがいもをシャキシャキ感が楽しめるよう手早く炒める。じゃがいもが透き通ってきたらねぎと酒大さじ2杯を加え、さっと炒め、塩、白コショウで味を調える。火を切ってピーマンを加え、混ぜ合わせる。

▽松田美智子(まつだ・みちこ)女子美術大学非常勤講師、日本雑穀協会理事。ホルトハウス房子に師事。総菜からもてなし料理まで、和洋中のジャンルを超えて、幅広く提案する。自身でもテーブルウエア「自在道具」シリーズをプロデュース。著書に「季節の仕事 」「調味料の効能と料理法」など。

新メークイン。たっぷりの水にさらしてでんぷんを抜く(炒め物で)
新メークイン。たっぷりの水にさらしてでんぷんを抜く(炒め物で)/(C)日刊ゲンダイ
生命が最も高まる瞬間のビタミンC

 月の上旬、中旬、下旬という言葉がある通り、旬とは本来たったの10日間のこと。ゆえに、旬の食とはその食材のもととなる生命の輝きが最も活発なほんの一瞬、ということになる。植物性の食材であれば芽吹きや実りの瞬間にあたるし、動物性の食材であれば産卵を前にエネルギーを蓄積したとき、あるいは冬に備えて脂を蓄えたとき、といった時期になる。我々は、他の生物の生命をいただくだけでなく、その生命が最も高まるときを見計らって収奪してしまうのだから、人間は本当に罪な存在である。増え過ぎた人類の、一人一人の人権を支えるためのありがたきリソースとして地球環境があることをいま一度、食事の前に心に刻みたいもの。

 さて、訓話はこれくらいにして、今回は新じゃがいも。何が「新」かといえば、普通のじゃがいもは秋に収穫するところ、夏前にもおいしいじゃがいもが食せるがゆえの新。前の年の冬に植えてちょうど今ごろ収穫できるようにした。小ぶりで皮が薄く、みずみずしいのが特徴。温暖な地域でたっぷりと太陽の光を浴びて栽培される。新じゃがいもに含まれるビタミンCは同じ重さのリンゴの8倍! 2つ食べれば一日の必要量が満たせる。

▽福岡伸一(ふくおか・しんいち)1956年東京生まれ。京大卒。米ハーバード大医学部博士研究員、京大助教授などを経て青学大教授・米ロックフェラー大客員教授。「動的平衡」「芸術と科学のあいだ」「フェルメール 光の王国 」をはじめ著書多数。80万部を超えるベストセラーとなった「生物と無生物のあいだ」は、朝日新聞が識者に実施したアンケート「平成の30冊」にも選ばれた。

※この料理を「お店で出したい」という方は(froufushi@nk-gendai.co.jp)までご連絡ください。

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