治療効果についての情報は「二重盲検ランダム化比較試験」の結果が重要ですが、インフルエンザの治療薬を例に、実際の研究を見てみましょう。
この研究は、15歳から65歳までの症状の発症から36時間以内のインフルエンザ患者に対して、抗インフルエンザ薬のひとつであるオセルタミビル(タミフル)を1日2回、5日間投与し、その効果をプラセボと比較したランダム化比較試験で、2000年に発表されています。
この研究ではオセルタミビルの量を75ミリグラムと150ミリグラムの2つをそれぞれプラセボと比較しています。薬の投与開始から症状消失までの時間で効果を検討していますが、オセルタミビル75ミリグラムでは平均76・3時間、150ミリグラムでは74・3時間でした。
これに対して、プラセボ群では97時間。比較すると、オセルタミビル群でそれぞれ20・7時間、22・7時間早く症状がなくなるという結果でした。大ざっぱに言えばプラセボを使ったグループでは治るまで4日間かかるのに対し、オセルタミビルを使うと3日で治るということです。
さらに言えば、インフルエンザは薬を使わなくても平均4日で自然に治るということです。もちろんこれは平均ですから、1日で治る人もいれば1週間かかる人もいます。これは薬を飲んだ人たちも似たような状況で、1日で治る人もいれば1週間かかる人もいます。つまり、個人個人で見ると誰が薬の効果の恩恵を受けたかはよくわかりません。だからこそプラセボを使ったランダム化比較試験という厳密な研究方法が採用されるのです。
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