中高年の正しい眠り方

寝ても疲れがとれない人はリビングの照明を暗くする

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 しっかり寝たはずなのに疲れが残ってる。朝、すっきり起きられない……。こんな悩みを訴える中高年の方がたくさんいらっしゃいます。同じ悩みを抱えている人は、「光の調節」を試してみてください。

 光=照明は、われわれの睡眠に想像以上に大きな影響を与えます。睡眠には「メラトニン」というホルモンが大きく関わっています。メラトニンは、日光や照明を感知すると減少し、暗くなると急速に増加して睡眠を誘発します。そして、夜になってもメラトニンの分泌が抑制されていると睡眠の質が低下してしまうのです。

 メラトニンは朝にしっかり減らしておかないと、夜に分泌される量が減ってしまいます。増減の幅が大きいほど、朝の目覚めはよくなり、夜にぐっすり眠れます。ですから、まずは起きたら光を浴びましょう。

 網膜が光を感知した時点から分泌がストップするので、寝る場所を窓際にしてカーテンを少しだけ開けておけば、朝になると自然と光を感知できるのでおすすめです。

 寝室の構造上、窓際で寝ることができない人は、朝、目覚めた時点でカーテンを開けて窓から1メートル以内に入るといいでしょう。光を感知させるのは起床から4時間後までがリミットです。

 夜にメラトニンをしっかり分泌させるには、帰宅してから就寝までの時間を過ごす部屋の光も重要です。

 私が睡眠セミナーを実施している企業で、快眠のために実行した行動で効果を感じた取り組みについてアンケート調査したところ、最も多い回答が「帰宅後にリビングの照明を暗くすること」でした。

 メラトニンは、500ルクスより暗くなると分泌され始めます。500ルクスは、オフィスや家庭で一般的に使われている白色蛍光灯の明るさで、その下で3時間過ごすと夜間に分泌されるはずのメラトニンが50%減るという報告があります。夜に帰宅してリビングを暗くして過ごしていると、メラトニンの分泌が増えてスムーズに眠くなるケースが多くなるのです。

 日が落ちたら余計な照明はすべて消灯するのが理想的ですが、帰宅してからベッドに入るまで、真っ暗な中で過ごすのはなかなか難しいでしょう。

 そこで、照明は部屋全体を明るくせずに手元や足元だけを照らすようにしたり、壁に電球色の電灯を当てる間接照明にしてみてください。お風呂に入る際も、バスルームの照明をつけないようにすると効果的です。

 リビングに加え、寝室も真っ暗にして眠るとさらに理想的です。メラトニンは入眠から3時間後に分泌のピークを迎えます。照明をつけたまま寝ると、メラトニンの分泌が抑制されてしまうので、長時間寝ても起きた時に疲れが残ってしまうのです。

 常夜灯をつけっぱなしにして寝る人も多くいますが、わずかな光でも浴びている時間が長ければメラトニンの分泌は減ってしまいます。

 睡眠の質を高めるカギは「光」にあるのです。

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