コロナ禍での五輪開催について、アメリカメディアも日本人が抱えるのと同様の複雑な思いを伝えています。
ニューヨーク・タイムズは「通常なら戦うのはアスリート。しかし今回に限っては、開幕させるために戦ったのは組織委員会で、感染の恐れと組織委員会のスキャンダルにまみれたものになってしまった」とコメント。
また、「ドローンで形作られた地球により世界平和と協調を発信することで、パンデミックやスキャンダルから目をそらそうと試みたが、過去半年で最悪の感染状況を迎えているうえ、ワクチン接種もなかなか進まない中での日本人の気持ちとは共鳴しないものだった」とし、スタジアムの外では五輪の反対運動が行われていることを伝えました。
ワシントン・ポストは「本来、開会式はその国の過去から現在の文化を表現するもの。特に今回は東日本大震災からの復興とコロナからの復活をアピールするはずだったのが、そのメッセージは混乱したものになってしまった。この抑えたトーンがパフォーマーのソーシャルディスタンスを保つためだというなら理解できる。しかし伝統舞台芸術とドローンと大坂なおみという流れが“ムービング・フォワード”という共通コンセプトを表現しているとは思えなかった」と手厳しい。
さらには、これまでの成功した五輪開会式は世界的に知られる映画監督が演出したものだったが、今回のディレクターはコメディアンで結局スキャンダルで解任されてしまった。だったら同時に最も“痛い”演出のイマジンの演奏もやめるべきだったとバッサリ。
五輪を独占放送するNBCの開会式の視聴率は過去30年間で最低だったと伝えられています。五輪中継の視聴率は毎回下がり続けているので、開会式の内容が悪かったからとは言えないと思いますが、残念な批評であることは間違いありません。
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