秒速薬膳でアッという間に健康に

夏風邪にはところてん、わかめ、セロリで体内の水分を排出

わかめとセロリの中華風ところてん
わかめとセロリの中華風ところてん(提供写真)

 8月も残り少なくなってきたというのに、相変わらずうだるような蒸し暑さ。それでなくてもだるくてバテバテなうえに、なんだか頭が痛いし、熱がある……。もしかしてこれって夏風邪?

 風邪はすかさず手を打てば、薬に頼らなくても食事で症状改善が可能です。ただし、風邪のタイプによって対策を変えることが大切です。

 中医学では、夏風邪は「蒸し暑さ」が原因と考えます。寒さによる冷えが原因となる冬場の風邪とは別モノ。蒸し暑さによる暑気あたり、湿気によって余分な水分が体内にたまることで引き起こされるのです。いわば、この時期限定の風邪といえます。

 症状としては体や頭が重だるい、鼻水が多い、吐き気や下痢をともなうケースが多く、体内の水分が原因のため「重だるい」が大きなポイント。また、一度ひくと、なかなか治りにくいのも特徴です。

 夏風邪をひきやすい人は、水分をため込みがちな「水滞タイプ」に多く見られます。普段からむくみやすかったり、水太りしがち。また、湿気に弱く、雨の日にはてきめんに症状が悪化し、体調が悪くなりやすいので、思いあたる人は梅雨時から夏にかけては要注意です。

 速やかな夏風邪の回復には、熱を冷まして体内の水気を絞り取る食材を取り入れることが重要になります。

 おすすめは海藻類。わかめ、昆布、ひじき、もずくなどは、体にこもっている熱を冷ますとともに利尿作用が高く、まさに「夏の食べる風邪薬」!

 また、セロリや緑豆もやしも解熱作用と水分代謝をアップする優れた働きがある夏風邪の強い味方。そのほか、ゴーヤーやそばも改善に役立ちます。

 あまりにも体調が悪くて食べる気も起きないときは、飲みもので対策を図りましょう。はとむぎ茶と黒豆茶は、体内の湿気を尿としてすっきりと排泄する働きが高く、症状の改善におすすめです。

 また、一刻も早い回復のために気を付けたいのは、消化のよいものを食べること。前提として、体力が落ちているために風邪をひくのであって、「栄養をつけるには、肉をたっぷり食べよう!」といった行為は、弱った内臓に負担をかけて症状を悪化させてしまいます。そして、カレーなどスパイスが過剰に効いた料理、辛いものも控えることが大切です。 

■夏風邪撃退薬膳レシピ

わかめとセロリの中華風ところてん

 夏風邪の改善に役立つ海藻類を手軽に摂取できるのが「ところてん」です。海藻のテングサを煮溶かして作られています。

 同じく体にこもった熱を冷ますとともに、水分代謝を高めるセロリ、さらにわかめをプラスした夏風邪撃退レシピ。

 冷やし中華風のたれで、食欲がないときでもつるりといただけます。

【材料】
・ところてん  300グラム
・わかめ(生食用) 40 グラム
・セロリ  2分の1本
・たれ(ぽん酢醤油大さじ2、ごま油大さじ1、鶏がらスープのもと少々、にんにくすりおろし少々)
・塩  少々

【作り方】
 器にところてんを入れ、食べやすく切ったわかめ、縦半分にしてから斜め薄切りにして塩を揉み込んだセロリをのせて、混ぜ合わせたたれをかける。

池田陽子

池田陽子

薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト・全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。国立北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で国際中医薬膳師資格を取得。近著「1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日」が好評発売中。

関連記事