幸先の良いスタートを切るための正月食事術

飲む機会が増えるからこそ改めて知っておきたいお酒の知識

ついついお酒もすすむが…
ついついお酒もすすむが…

 コロナ禍でなかなか開催されなかった忘年会や新年会が復活し、年末年始にお酒を飲む機会が増える方も多いのではないでしょうか? 日本栄養士協会や厚生労働省は、お酒は適量の場合はストレス解消の効果を期待できるが、量が増えると確実に健康に影響が起こるとして、1日のアルコール摂取量の目安を「純アルコール量で約20g程度」としています。また、女性や高齢者、飲酒後にフラッシング反応を起こす人は、これより飲酒量を少なくすべきであると推奨しています。

 アルコール飲料に換算すると、ビール(アルコール度数5%)は中びん1本(500mL)、日本酒(15%)は1合(180mL)、焼酎(25%)は0.6合(約110mL)、ウイスキー(45%)はダブル1杯(60mL)、ワイン(14%)は1/4本(約180mL)、缶チューハイ(5%)は1.5缶(約520mL)となります。

 この「20gのアルコール」とは、一体どんな水準で定めているのでしょうか。個人差はありますが、一般的に1時間で代謝するアルコールは「0.1×体重g」。体重60kgの人だと1時間で0.6gです。アルコールは約3時間程度で代謝されるのが体に負担がかからないことがわかっていますので、20g程度とされているわけです。

 ただし、体格の違いによる分解速度の違いや、男性で6~13g、女性で4~11gの分解速度の個人差があること、高齢者になると分解速度が遅くなること、睡眠中のアルコール分解速度は起きている時より遅いことなど条件によって違いがあるので、あくまで目安に留めることも念頭に入れておきましょう。

■糖質よりもアルコールの度数に注意

 また、最近は「糖質ゼロ」「カロリーオフ」などと表示されたビールや発泡酒などの酒類が多く販売されていて、手にとってしまう方も多いのではないでしょうか。飲料では100mLあたり糖質0.5g未満であれば「糖質ゼロ」と表示できるので、熱量が20kcal以下であれば「カロリーオフ」と表示できることになってしまいます。先ほど触れたように、糖質の度数よりもアルコール度数の方が体に対する負担は大きく、そちらを考えるべきです。

 就床前にアルコールを飲むことで、寝付きが良くなると思っている方も多くいますが、実は、寝酒は少量でも睡眠の中途覚醒の時間を増やし、睡眠の質を悪くすることが知られています。就床前にはアルコールを飲まずに、代謝されてから寝るようにする方が健康的といえるでしょう。

 また、時間栄養学の観点からいうと、精製されたアルコールにおける体内時計のリセット作用は見られませんでした。おそらく、アルコールを飲み過ぎて夜型になる場合は、糖質の多いお酒を飲むか、おつまみの影響も大きいといえるでしょう。

 一方で、適量のお酒を飲むと一般的に血圧が低下し、善玉コレステロールが上昇する、心疾患の予防になるといった良い面も報告されています。年末年始は上手にアルコールとお付き合いください。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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