時間栄養学と旬の食材

エネルギーも糖質も低い「海ぶどう」免疫力を上げコレステロールを下げる

別名グリーンキャビア
別名グリーンキャビア

 沖縄の特産としても名高い海ぶどう。本島や宮古島、伊良部島などの海域に生息するイワズタ科の海藻で、特徴的な見た目からグリーンキャビアとも呼ばれる珍味です。最近は海外由来のものも出回っていますが、沖縄、宮古島での栽培数も多く、天然ものは4月からが収穫の時期となります。まさにこれからが旬ですね。そんな海ぶどうに含まれる栄養価にはどのような健康効果があるのでしょうか。

 特徴的なのは、そのエネルギーの低さです。同じ海藻の仲間であるワカメと比較すると、エネルギーは4分の1(100グラム当たり4キロカロリー)、糖質量は5分の1(100グラム当たり0.4グラム)で、ダイエット中の方や糖質を抑えたい方にオススメの食材です。大体1パック100グラム程度で売られていることが多いので参考にしてみてください。

 また、便秘の方に取ってもらいたい食物繊維、骨や歯を丈夫にしてくれるカルシウム、貧血予防の鉄、そのほかにもビタミン、ミネラルを多く含んでいます。

 さらに、さまざまな研究報告があります。私たちの体内には病原菌やウイルスなどが侵入した際に、それらを食べたり(貪食作用)、傷を修復したり、体の新陳代謝を調節したりしてくれるマクロファージという白血球のひとつがあります。海ぶどうから抽出した成分を用いたところ、このマクロファージの貪食作用をアップさせ、免疫機能を高める可能性が考えられているのです。

 ほかにも海ぶどうの抽出物には、高い抗酸化作用を持つフェノール類が1.3ミリグラム(乾燥海ぶどうは2.04ミリグラム)も含まれることもわかっていて、高い健康効果が注目されています。また、海ぶどうが血漿(けっしょう)中の総コレステロールを低下させる働きを持つことから、動脈硬化予防・血管保護作用が期待されるという報告も!

 海ぶどうは生もので、賞味期限も収穫後約1週間と大変短いです。低温環境や生水に弱く、すぐに鮮度が落ちてしまうため、沖縄の海と同じ20~27度の塩水で保管するのがよいでしょう。食べる直前に流水で洗ってから召し上がってみてください。もし白くなっている時は、透明なふた付きの容器に入れて蛍光灯などの弱い光にさらすと元に戻ります。

古谷彰子

古谷彰子

早稲田大学大学院卒。早稲田大学時間栄養学研究所招聘研究員、愛国学園短期大学准教授、アスリートフードマイスター認定講師。「食べる時間を変えれば健康になる 時間栄養学入門」「時間栄養学が明らかにした『食べ方』の法則」(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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