健康長寿に役立つ高齢薬膳

【レバー】「肝」の働きを強めて血を補い筋肉を滋養する

レバーとホウレンソウのごまソースあえ
レバーとホウレンソウのごまソースあえ(提供写真)

 年をとって足がつりやすくなった。とくに寝ているときに足がつって何度も目が覚める……。そんな悩みはありませんか? 一般的には年齢が上がるにつれて、足がつりやすい状態に陥ります。とくに、ふくらはぎがつる「こむら返り」を睡眠時に起こす人が多くみられます。

 足のつりは、強い筋肉のけいれんが突然発生して、筋肉が硬直してなかなか元に戻らず、痛みを伴う状態です。原因としてはまず、加齢とともに筋肉やアキレス腱にある「腱紡錘」の働きが弱まり、筋肉の伸縮を制御できなくなることが挙げられます。

 また、筋肉量の減少によって、ちょっとした日常動作でも筋肉にかかる負担が大きくなり、疲労が蓄積して足がつりやすくなるのです。そのほか血行不良、脱水、冷えなどの要因もあります。

 中医学では、足のつりは「肝」と呼ばれる臓器に原因があると考えます。肝は血を貯蔵するとともに、全身の血流を調整し、管理する機能がある臓器です。肝に蓄えられた血は必要に応じて全身に送り出されます。また肝は筋肉と関わりが深く、その働きが低下すると筋肉が弱り、足がつりやすくなってしまうのです。

 とりわけ春は一年で最も肝が弱りやすい季節。気温の上昇とともに体内のエネルギーが高まり、肝の働きも過剰になってバランスを崩しやすいのです。つまり、春は「足がつりやすい季節」でもあるのです。この時期は、心して食養生しましょう。

 足のつりを改善するためには、肝の働きをサポートし、血を補う食材を取り入れて筋肉を滋養することが大切です。

 おすすめはレバー。肝の働きを強め、血を補う優れた働きがあります。中医学では「同物同治」といって、体の弱りは同じ臓器で補うという考え方があるのです。また、肝機能向上、老人性貧血の改善にもよく、疲れ目、視力回復にもおすすめ。鶏・豚どちらも効能は同様です。調理が面倒……というときは、焼き鳥のレバー串やレバーペーストで取り入れるとよいでしょう。

 そのほか、魚介類ではカツオ、マグロ、イカ、野菜はニンジン、ホウレンソウ、フルーツではブドウ、プルーン、クコの実、そして黒ごまなどが改善に役立ちます。

■レバー高齢薬膳レシピ


レバーとホウレンソウのごまソースあえ

 肝の働きを強めるレバーとホウレンソウ、黒ごま、クコの実を組み合わせたレシピ。焼き鳥のレバー串、冷凍カットのホウレンソウを使えばスピーディーに完成します。ソースとごま油の風味で、レバーが苦手な人もおいしくいただけます。

【材料】2人分
●焼き鳥レバー串  2本
●冷凍カットのホウレンソウ  150グラム
●黒すりごま  大さじ1
●たれ(ソース、ごま油=各大さじ2)
●クコの実  適量

【作り方】
 串から外したレバー、解凍して水気をきったホウレンソウをボウルに入れ、混ぜ合わせたたれ、黒すりごまも加えて全体を混ぜ、器に盛りクコの実を散らす。

池田陽子

池田陽子

薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト・全日本さば連合会広報担当サバジェンヌ。国立北京中医薬大学日本校(現・日本中医学院)で国際中医薬膳師資格を取得。近著「1日1つで今より良くなる ゆる薬膳。365日」が好評発売中。

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