睡眠前15分! 寝つきが良くなりぐっすり眠れるようになる簡単リラックス法

写真はイメージ(C)RyanKing999/iStock
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 睡眠の質を高めるには、規則正しい生活や運動習慣、夜にはスマホやパソコンを見ない、朝、太陽の光を浴びるなどさまざまな方法がある。さらに加えたいのは、15分ほどでできる「筋弛緩法」だ。不眠症患者にこの方法を指導する東京家政大学人文学部心理カウンセリング学科の岡島義(いさ)准教授に聞いた。

 睡眠は、「量」とともに「質」も重要だ。睡眠不足が続くと、高血圧、糖尿病、肥満、うつ病などのリスクが高くなる。日中の仕事や勉強のパフォーマンスが落ち、事故を起こしやすくなる。アルツハイマー型認知症の発症に関係していることも指摘されている。

 筋弛緩法は、不眠に対する認知行動療法のひとつ。正式には「漸進的筋弛緩法」といい、1930年代に米国の神経生理学者が考えたリラクセーション法がもとになっている。岡島准教授が言う。

「緊張とリラックスはてんびんの関係になっています。筋弛緩法は体に力が入っていることを自覚し、その力を抜き筋肉をリラックスさせる方法。海外の研究になりますが、筋弛緩法で寝つきと睡眠の質が改善されることが証明されています」

 24~79歳の慢性不眠症患者50人(男女の割合は半々)を対象にした筋弛緩法の研究では、4週間後、寝つきにかかる時間が63分から28分に減少し、睡眠時間は5.3時間から6.2時間へと長くなった。最大7点の熟睡感は、3.3点から4.9点へと上昇した。

■操り人形になったイメージで

 やり方は別項の通り。寝る前に一通り行う。途中で眠くなったら、中断して眠っていい。就寝前に加え、日中にもできれば理想的だ。日中の場合は、どれかやりやすいものを一部抜き取ってやってもOK。

「操り人形になったイメージで行うとやりやすい。体が糸で引っ張られている状態、糸が切られて力がストンと抜ける状態を意識してください。最初は誰かに腕を持ち上げてもらい、それに体を委ね、ストンと落としてもらうようにして、体の力が抜ける感覚をつかむのもいいかもしれません」

 特に、「昼間の緊張が抜けない」「日中の出来事をいろいろ考えてしまう」「ストレスが強い」といった人に効果が期待できる。

■ストレスフルの人に特にお勧め

「筋弛緩法には即効性の効果と持続的な効果があります。筋弛緩法を行うとすぐにリラックスできます。それは時間の経過とともに元に戻ってきてしまいますが、筋弛緩法を継続して行うことで、リラックス感が深くなり、戻りも弱くなります。持続的な効果を目指し、まずは1週間続けて行ってください」

 睡眠の質が改善するだけでなく、血圧の低下、緊張性頭痛の改善、イライラ解消、集中力向上などの効果もみられている。

 わずか15分。今夜から取り入れてはどうだろう。

■力を入れて抜く筋弛緩法

【準備】

 静かな場所で椅子に座り、アクセサリー、ベルト、時計などは外す。

【筋弛緩法】

 体のさまざまな部位に順番に「力を入れて、抜く」。力を入れる時間は5秒ほど、抜いた後の時間は20秒ほど。

①手のひらを握り、力を抜く②こぶしを握り肘をぐっと曲げて脇を締め、太ももにストンと落とす③背筋を伸ばし頭をゆっくり下に傾ける。次に顔を上げ天井後方を見る。顔を正面に戻し、頭を左右にストンと傾ける④肩をすくめるようにして上げ、落とす⑤肩のリラックス(④)と腕のリラックス(②)を組み合わせて行う⑥ペンギンのようなイメージで腕を後ろに引き、胸とお腹を前に突き出し、ストンと力を抜く⑦両手を重ねておへその下に当て、息を口から「ふーっ」と吐き出し、鼻から吸う。息を止め、手でお腹を押し、それを止めるように腹筋に力を入れる。苦しくなったら、息を吐くのと一緒にふーっと力を抜く⑧椅子に深く腰掛け、両膝をつけて脚を伸ばし、つま先は手前に向け、その後、足の力をストンと抜く⑨背もたれに寄り掛かって座り、②④⑧を同時に行う。

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