コロナ禍で、外に飲みに行く機会が減った人は多いのではないでしょうか。輪をかけて、若い世代が、上司との飲みの席、俗にいう「飲みニケーション」に関して、否定的な見解を示すといった風潮もあります。
日本酒製造会社の「沢の鶴」は、若者世代の価値観とコミュニケーションに関する調査を実施しています。「上司や先輩との飲み会が好きか?」という問いに対して、「非常にそう思う」(6.0%)、「どちらかといえばそう思う」(15.4%)と、好意的な意見は21.4%にとどまっています。本音を言えば、「行きたくない」と考える若い世代が大多数であることがうかがい知れます。
「飲みニケーション」に限らず、生活の至るところに、誘いを断りたいシーンは存在します。「今度、ライブをするから見に来てよ」「うちでパーティーをするから来てください」。そういった誘いはうれしい半面、お金も時間も割くことになりますから、どうしてもシビアにならざるを得ません。
となれば、どうやって断るか……がポイントですが、そんなときは、「時間」を理由にするよりも「お金」を理由にする方がいいという研究結果があります。
オハイオ州立大学のドネリーらは、約200人を対象に「誘いを断る理由」について調査(2021年)しました。「時間がないから」と断った場合、「お金がないから」と断るときの約2倍、ネガティブなインパクトを相手に与えるという結果が出たそうです。時間を理由にすると、「なぜ調整できないのか」などと思われがちなためです。
私たちは、誰かから誘いを受けた際、なんとなく時間を理由にした方がいいと考えてしまいがち。しかしこの実験結果は、時間を理由にすると、かえって相手に悪い印象を与えかねないと、教えてくれるわけです。
たしかに、時間的な理由である「都合が合えば」という返答にしても、そのほとんどが、実質、「行けません」のようなニュアンスを含んでいるケースも多いですよね。誘った方からしても、「だったらはっきり行けないと言ってほしい」と思うのは当然でしょうから、関係性がギクシャクしてしまいかねません。
しかし、金銭的な問題を断る理由に挙げられると、誘った方はぐうの音も出ません。お金を理由にするのは少し恥ずかしい気もしますが、たとえば、「海外旅行へ行くために貯金をしている」とか、「親孝行のためにお金が必要」などと付言すれば、異なるイメージを与えられると思います。
ちなみに先の調査では、「若者世代が参加したい職場の飲み会の特徴」との問いに対し、「あまりお金がかからない」が最も多く40.1%でした。現実問題として、お金は大きな要因になっているというわけです。
「あまりお金がかからない」以下は、2位「説教する人がいない」(39.4%)、3位「短時間で終わる」(36.7%)、4位「気配りをしなくてもいい」(35.1%)、5位「自分のペースで飲める」(31.3%)。若者世代との付き合い方として、参考にするといいかもしれませんよ。
◆本コラム待望の書籍化!2022年11月24日発売・予約受付中!
「『不安』があなたを強くする 逆説のストレス対処法」
堀田秀吾著(日刊現代・講談社 900円)
科学が証明!ストレス解消法